「美紀ちゃん、福島は再生できるだろうか」
 勇次が心配そうに美紀に聞いた。
「私が生きているうちには無理かも」
 美紀が絶望的な顔をして答えた。
「福島の人々に何の罪もないのに」
 勇次は拳を握って自分に言い聞かすように言うと、
「心配してくれてありがとう。私も自分の故郷の事が心配だけど、勇次がいつもそばにいてくれるから幸せよ」
 この美紀の言葉に勇次は火がついて美紀を抱きしめ激しい口づけをするのだった。
広島の雨の朝の出来事である。