今でも目をつぶると昭和三十年代の旧広島市民球場が目に浮かぶ。

「カクテル光線、青い芝生」

 今となっては遠い思い出である。

昭和三十七年あの、

「王は王でも三振王」

 のジャイアンツ王選手が大変身を遂げた。

「豪打を爆発させるようになったのである」

 広島に来てもよくホームランを打った。

かつて王は王でも三振王と野次った連中が、

「こらえてつかわさいや(許してくれの意味の広島弁)」

 と詫びを入れたが駄目だった。

「とにかく打ちまくったのである」

 王選手はこの年から十三年連続でホームラン王に輝いた。

とにかく旧市民球場ではよく打った。