広島カープはとにかく貧乏な球団だった。ある時あるパーティーで大物カープO.B.にすごまれた。

「お前はことさらカープが貧乏だった事を強調する。恨みでもあるのか」

 ものすごい顔をして言われた。

私も黙ってはいなかった。

「あなたはカープ球団が落ち着いてから入ってきた人だ。カープ球団が超貧乏だった頃は知らないはず」

 こう言うと周りの人が、

「そうだそうだ」

 と言ってくれた。

私がまだ三歳になる前の頃だろうか。昭和三十年か三十一年頃か、

「カープの選手はボロボロの列車に新聞紙を引いて移動していた事を私ははっきりと覚えているのだ」

 貧乏を強調しているのではない。

悲惨な状況から立ち上がっていった事を強調しているのである。