心理学者マーティン・セリグマン教授は、ペンシルベニア大学で心理学の講座を担当しているとき、ある実験を行いました。それは「幸福は遊びからよりも親切な行為からの方が手に入りやすいのでしょうか」という質問から始まりました。



結果は、彼らの人生観を変えるようなものとなった。友達と遊ぶ、映画を観る、チョコレートサンデーを食べるなどの娯楽活動は、慈善活動の前にかすんでしまったのだ。

ある学生は、小学三年生の甥の算数を見てやった日のことをまとめた。「そのあと一日中、自分が人の話によく耳を傾け、穏やかであり、まわりの人もふだんよりも好意的に接してくれた」ことに気づき、彼は非常に驚いた。ただ楽しむこととは違って、親切にすることには充足感がともなう。この充足感を得るためには、それぞれが自分の強みを生かして臨機応変に相手の要求に対処することが必要だ。



-「世界でひとつだけの幸せ」(マーティン・セリグマン)



親切な行為もいいことをすると思ってしまうと、身構えてしまいます。周囲の目も多少、気になりますよね。(^-^; でも、自分のためにするのだと思えば、気楽にできるかもしれません。自分のためにしているわけですから、褒められる必要もないし、感謝される必要もありません。


チベット仏教僧のマチウ・リカールは、慈悲心すなわち、他者に対する思いやりを深めることで、感情的・肉体的な苦しみをコントロールできるといいます。

また、心理学者のタル・ベン・シャハーは、思いやりについて定期的に瞑想することで、心と体の健康が増進されるとしています。


よかったら、試してみてくださいね。



誰かのために思いやりのある行動をし、感謝されたときのことを思い出し、心の目でその人の反応を思い返してください。そして、その反応をしっかりと感じてください。


それから、自分の感情をじっくりと味わい、幸福感が広がっていくのを感じてください。他の人のうれしそうな反応と自分自身の感情をじっくりと味わいながら、自分のためにすることと人の役に立つこととの間にある壁を打ち破るのです。


次に、今後、人との関わりの中でできることを考えてみましょう。友人にアイデアを教えてあげることや、愛する人に花を贈ること、子どもに本を読んであげること、支援している団体に寄付すること…。そうした思いやりの行動がもたらす深い幸福感を体感してください。

-「ハーバードの人生を変える授業」(タル・ベン・シャハー)