令和6-5-24 公開
1986年に、スタートしたTVドラマ『あぶない刑事』の劇場版が
8年ぶりに復活。
刑事を引退して、ニュージーランドで
探偵事務所を立ち上げたタカ&ジョージ。
再び横浜に戻り、探偵を始めた彼らの前に、
依頼人第1号として現れたのは、
2人にとって旧知の女性・
夏子の娘だった...。
(岡本敦史:ライター、編集)
自分たちが、老いぼれたとは、まるで思っていない主役
コンビの活躍を描くというコンセプト自体は、
圧倒的に正しい。
舘ひろしと柴田恭兵の(言い方はヘンだが)
鋼鉄のように軽い芸も、もはや至芸。
問題は、周囲のリアクションを
どう描くかで、その
相対比の欠如は、今の娯楽映画とは
思えない。
旧キャスト陣が、振りまく不自然さを周囲の
若手がほとんど指摘しない状態は、政界の忖度を見る
かのようで、不気味だ。
とはいえ、若々しさと、わかりやすい
オマージュで、前作の枯れた味わいとは一線を画した。
(北川れい子 映画評論家)
スタートから40年。
近年このシリーズになると、
舘ひろしも柴田恭兵も、どこかタガが緩むのか、
もうほとんど趣味と遊びで演じているようなノリ。
シリーズ初期から
2人を観ているこちらも、そんな彼らにいつしか、寛大になり、
ふざけ合いと、そこだけ真面目(!)なリアクションが
楽しめれば、わざとらしい設定や、ムリムリのエピソードも、
勝手にどうぞのノリ。
若い観客層をまったく意識しない
2人の言動も、逆に潔いとも言えなくもないし。
ただ、演出のキレがいまいちで、
途中で何度かイライラ。
(吉田伊知郎:映画評論家)
黒澤満も仙元誠三も、いなくなったが、スタッフの
世代交代を成功させた理想的一編。
かぶき者タカ&ユージの
華麗なる老いが、BL寄りの
初老ブロマンスを成立さる。
銃を持てない伽(とぎ)を、
どう潜り抜けてあぶデカに
成り得るかを硬軟織り交ぜた趣向で
成立させたのも良い。
過去のフィルムを自在に挿入してシームレスに
繋げた芸当は、「男はつらいよ おかえり寅さん」と双璧。
早乙女対地
以外の若手は、総じて影が薄いが、
探偵バディものへの
リブートは予想以上に
うまくいっており、毎年観たくなる。
備考:この内容は、
令和6-6-20
発行:キネマ旬報
より紹介しました。