いろんないきもの
『かぞくのカタチ』
文:澤口たまみ
絵:たしろちさと
福音館書店 1,400円+税
絵本は”新しいいのちが育つために、
ともにチカラを合わせるなかまを、ここでは
「かぞく」と呼んでみます”と始まる。
カラス、ペンギン、クマノミ、クマ、ゴリラの家族を
絵と文で。親が子を産み育てる営みを追う。
”解説 家族のヒミツ”では、これらの
生き物たちの生態を、さらに詳らか(つまびらか)
にしていく。
カラスの「刷り込み」や、コウテイペンギンの
オスがひなに与える「ペンギンミルク」
について。
カクレクマノミは、大きくなる
までの間に、オスになったり、メスになったり
するという。
ツキノワグマは、冬眠前に
たっぷりと、どんぐりを食べたときだけ
新しいいのちを産むのだ。
1日に何10キロも、草を食べる
マウンテンゴリラは、群れで仲良く
暮らしている。
大きな文字と、わかりやすい文、親しみの
持てる絵をたどるうち、いのちに対して
敬虔な気持ちになる...。
『ISSUE 中川李枝子 冒険のはじまり』
スイッチ・パブリッシング
2,000円+税
児童書「いやいやえん」「ぐりとぐら」
シリーズなどの作者。
中川李枝子をめぐる資料集だ。
雑誌風編集形態のこの本に編集者名は
ないが、詩人・工藤尚子との対談から始まり、
幼い頃の読書体験、保育士として働きながら
参加した同人誌の活動が紹介されている。
中央に、はさまれた1959年の
「いやいやえん」の復刻版がまぶしい。
「もう私、前ばかり向いてた。
後ろなんて一度も振り返っている
暇がなかった」という。ひたすら前向き、
思い出話は恥ずかしい。
中川李枝子は、2024年10月、89歳で●界。
読者は、絵本を開くたびに、鼻くそをなめ、
人形をボール代わりに遊ぶ幼稚園児「しげる」
と出会う。
園の先生は、物置部屋にしげるを
閉じこめるが、無理に矯正しているようでも
なさそうだ。
そこには、ありのままの
しげるがいる。ロングセラーの作品郡は、
題名を聞けば、表紙画が浮かんでくる
画家のチカラは大きい...。
備考:この内容は、
2025-2-1
発行:全国信用金庫協会
「楽しいわが家」
より紹介しました。