JET STREAM
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遠い地平線が消えて、
深々とした夜の闇に
心を休める時、
遥か雲海の上を、
音も無く、流れ去る気流は、
絶ゆみない宇宙の営みを、
告げています...。
満天の星を、頂く、
果てしない光の海を、
豊かに流れ行く風に、
心を開けば、
煌めく(きらめく)星座の物語も、
聴こえてくる
夜の静寂(しじま)の、
何と、饒舌(じょうぜつ)な、
ことでしょう...。
光と影の境に、
消えていった
遥かな地平線が、
瞼(まぶた)に、浮かんで
参ります...。
これからの、ひと時、
月曜日から、金曜日までの毎日、
あなたにお送りする、
音楽の定期便、
「JET STREAM」
夜間飛行のお供を、
いたしますパイロットは、
わたくし、
「福山雅治」です...。
ジェット・ストリーム、
日本航空・JALが、
お送りします...。
ジェット・ストリーム スカイウェイ・クロム...
今週は、国際線就航70周年を
記念したスペシャル・フライト!
東京都世界をつなぐ新たな
玄関口・新東京国際空港が
開航したのは、1978年。
その時代の 東京への旅。
時代小説作家・池波正太郎
による1977年刊行の随筆集・
「散歩の時、何か食べたくなって」
の中から、渋谷と目黒と題された
一編をお届けしています...。
「池波正太郎」
今夜は、その最終夜。
「剣客商売」、「鬼平犯科帳」、
「仕掛け人・藤枝梅安」など、
昭和の時代小説作家、
池波正太郎は、秋山小兵衛、
長谷川平蔵など魅力ある
主人公が活躍する小説を、
次々と世に送り出したが、
「食の随筆」には、
今も、ファンが多い...。
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その頃からの、ファンだった
歌舞伎俳優の、故・市川中車は、
生前、私に「とんき」のことを、
褒め称えたあげく、
「私は、とんき 意外のトンカツは、
認めない心境ですよ」
とまで、言い切った。
まあ、人それぞれの好みは、
あるにしても、ともかくも、
「とんき」のトンカツを食べて、
不味いという人は、
いないだろう...。
半袖の白いユニフォームを身に着けて、
ハツラツと働く、サービスの乙女たち。
新鮮なキャベツが、なくなると、
彼女たちが、走り寄って来て、
サッと、おかわりのキャベツを、
皿に置いていく。
「あ~あ、ここへ来ると、
キャバレーや、バーへ、行く気がしなく
なります」
と、言った中年の客もいる。
磨き抜いた清潔な手が、
皿の上で、タップダンスでも踊るように、
活きが良い カツレツ。
私はまず、ロースカツレツで、
酒か、ビールを飲み、
ついで、串カツレツで、
飯を食べることにしている...。
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今の「とんき」は、
旧店を、駅ビルのために捨てて、
目と鼻の先に、これまでの
小さな木造建築とは、比べ物は
ならぬ立派な店を構えているが、
よく見ると、主(あるじ)の心構えが、少しも、
変わらぬことが、店構えにも、
店内の作りにも、見て取れる...。
乙女たちの、ダイナミックなサービスも、
まったく、変わらぬ。
この店に長らく勤めた男女の店員の中で、
支店を任されている
人たちも、少なくないらしい...。
「とんき」で、食べて、
勘定を払って、
紳士に満足と愉快を、
覚えぬ客は、まずあるまい。
外国人の熱狂的なファンも多い。
私は、「とんき」の主が、
どのような経歴の人であるかは、
知らぬけれども、天変ただならぬ
戦後のおよそ30年間を、
誠実な商売で、貫き通してきて、
それが、昔も今も、客層の
圧倒的な支持を得ていることは、
それこそ、真に、ただならぬ人
という、気が、
私は、している...。
備考:この内容は、
「福山雅治地底人ラジオ」
739回視聴・1ヶ月前
”JET STREAM
福山雅治 2024-10-02”
より紹介しました。