【オープンに愛を表現する大学生...】
僕が見たところ、北京大学の
学生たちは、勉強したいと思うのと同じくらい強く、
恋愛したいという気持ちを持っている。
中国の大学生ライフは、日本の
学生と違って、常にキャンパスが中心だ。1日3度の
食事を学内食堂で済ませ、4人1部屋の
学生寮に住む(家賃は、年間2万円以下)。ぼくの
ような日本人にとっては、
それが新鮮に映る。
同級生たちは、夜9時すぎに寮へと戻って、
同部屋の学生たちとおしゃべりし、23時の
消灯後、就寝する。
寮内にプライベートな空間はない。
相互監視の場に近いと言っていいくらいだ。多くの
大学生にとって、最大のプライバシーは
恋愛にほかならないが、それを実現するためには、
ここではないどこかを探すしかない。
そこで、学生たちはキャンパスの
どこか片隅で、2人だけのロマンスを作ろうとする。
場所と時間をなんとかやりくりして連絡し、
ありったけの愛を歌にのせて伝えているのを
聞いた事があるが、それには
心から敬服させられたものだ。
恋人たちは、一緒にいるために、
涙ぐましい努力をしている。同じ授業を選び、一緒に
授業に出て、一緒に帰る。宿舎までという、
短い距離を...。
授業がない時は、空き教室を探して、
一緒に本を読み、食堂で毎食をともにする。公共の
場でも、2人は終始、手をつなぎ、ときには
ハグやキスまでも、思うがままにする。
恥ずかしいなんて、言っていられない。
青春の輝き、すばらしい時空...。
彼らは、オープンに愛情を表現する。
それはなにも、北京大学のキャンパス内に限った
ことではない。街角、バス、地下鉄、
百貨店、映画館...。公共の場でも、
よく目にする光景だ。
北京という国際的な大都市で忙しい日常
生活を送っている人々は、なにかひとつ隠す
ことはなく、大胆に手をつなぎ、抱き合い、
キスをしている。ときには、より激しい肉体的接触を
試みる情景すら、建物の裏道とかで
見受けられる。
羞恥心が強く、内向的な国民性を持つ
日本人の僕としては、こんな中国人の行動は、
とうてい真似できないものだ...。
備考:この内容は、
2011-3-20
発行:ディカヴァー・トゥエンティワン
著者:加藤嘉一
「中国人は本当にそんなに
日本人が嫌いなのか」
より紹介しました。