【細胞が記憶するまで練習する...】
(広岡達朗:野球解説者)
ヤクルトは、昭和52年に2位、53年に
優勝しましたが、その時の名ショートが
水谷です。そうやって選手が育ってくると、
やはり人間は育つと、ますます自信を深めました。
ただし、それにはどうしたら答えが出るかと
いう方程式を、教えなければいけない。
そのために「この子にはどの言葉が良いだろうか?
この子は、この言葉でいこう」と、その選手に
合った具体的な言葉で教えていく。天風理論で
いえば、肉体の法則、心の法則です。
巨人のように、優秀な選手を
どんどん入れて、選手同士を競争させて勝って
いくチームなら、人を育てる必要はそれほど
ないかもしれない。
だが、弱いチームの指導者となると、
人を育てなければいかんわけですよ。
そうすると、
「君たちね、あの選手は
おまえたちより上手だ。しかし、永久と
いうことはないんだよ。
そのためには、こういう
ことを
したら、あそこまで楽に行けるんだよ」と、
いうような話法に変わるんですね。
これは、私の持論ですが、基本をそれこそ、
体の細胞が暗記するまで練習する。頭で
「わかっています」では、駄目なんです。
細胞が記憶
するまで練習をやれば、必ず人は育ちます。
監督になって、ある日、トレーナーが、
「監督、これ以上やると、ほとんどがパンクします。
だから、手を抜いていいですか?」と、言ってきたので、
「ならん! 手を抜いて、いままで
どれだけ成績が上がった? ビリじゃないか。全員が
パンクしても、ビリはビリ。思いっきり
やってくれ!」と、言ったんです。
このトレーナーが、「監督はこんなことを
言った」と、選手に喋ったものだから、選手たちは
「俺たちを、バカにしやがって」と怒った。でも、
僕の計算では、それだけシャカリキに
頑張っている時には、パンクしないんですよ。
油断したときに、するんです。そうしたら、みんな
頑張って、その年は、見事に優勝してくれました...。
備考:この内容は、
令和4-3-25
発行:致知出版社
「1日1話、読めば心が熱くなる
365人の生き方の教科書」
より紹介しました。