新任の営業担当にとって、前任者が優秀で
あることは 必ずしもいい話ではない。取引先から
「前の人はここまでやってくれた」
「もっと気がきいてた」などと、比べられるかも
しれないからだ。
逆に前任者が取引先から嫌われていたなら、
自分を売り込むチャンスにもなる。
英コーンウォールでの、G7サミットで、米国のバイデ●
大統領は、その立場を存分に利用できたようだ。
「トラン●氏でない人」というだけで得点になる。
トラン●時代に米欧関係は、大きく傷ついた。
地球温暖化や貿易問題で激しく対立し、首脳宣言が
見送られたこともあった。
米国が議長だった昨年(2020年)、
対面のG7がなかったのはコ■ナの
せいだが、欧州の首脳は、ホッとしたのではないか?
今回のG7を象徴するのが
「米国は帰ってきた」という
バイデ●氏の言葉だ。ある欧州の
外交官が英紙に語っていた。
「帰ってきてくれて、みな喜んでいる。
だが、米国のリーダーシップが
意味するのは、彼らが我々に何かを
求めるということだ」
世界経済における米国の存在感の定価は、
トラン●以前から続いている。国際会議を主導しつつ、
負担は各国にお願いするという流儀も
戻ってきたか。中■に対抗し、途上国のインフラ投資に
注力するというが、さて各国がどれだけ
お金を出せるか?
首脳宣言には「台湾海峡の平和と安定」も
初めて盛り込まれた、中■を牽制しつつ、紛争に
なるのをどう防ぐか。各首脳は、東京五輪への
支持を取り付けたと喜んでいる場合ではない...。
備考:この内容は、
2021-9-30
発行:朝日新聞出版
著者:朝日新聞論説委員室
「天声人語」
より紹介しました。