「うぇ~っ!」
「東西冷戦集結」なんて、難しいことは言わなくても、
とにかくベルリンの壁がなくなったことは
周知の事実である。
OLのE子さんが、ドイツへ行ったときのこと。
その壁のカケラが売られていることを知り、自分で取ってこようと、
金槌片手に出かけていった。
「ちょっと、お嬢さん、困りますね?」
脇目もフラず、金槌で壁を叩いていると、ドイツの
ポリスが、隣りに立っている。
「えっ!?
あたし、記念にベルリンの壁をちょっと、
もらっていこうと しているだけですよ」
悪びれもせず、答える彼女に、警官は、度肝を抜かれたに
違いない。
「ベルリンの壁? お嬢さん、違いますよ。これは
ブランデンブルク門です。ベルリン市民が大切にしている
名所です!」
E子さんは、間違えて歴史に名高い旧跡の壁を
削っていたのだった。それでも、懲りないE子さん。
警察へ釣れて行かれたあとも。
「ブランデンブルク門だろうが、なんだろうが、
いいじゃない。たかだか壁のひとかけらなんだかな。ケチ!」
どうやら、E子さん、自分のとんでもない勘違いに
最後まで、気づく風もなく、警察でたっぷり油をしぼられたあと、
無罪放免となった...。
備考:この内容は、
1994-1-5
発行:河出書房新社
著者:ユーモア人間倶楽部
「旅の大ドジ編
世にも恥ずかしい人々Ⅱ」
より紹介しました。