【もはや3分に 意味はない!】
予想外の事態に 筆者自身も驚いているが、
科学的に考えれば、こうならざる
を得ない。ウルトラマンが 地球上で戦える時間は、
わずか3分間。『ウルトラマン』
の劇中ナレーションでも、そう言っていた。
3分しか戦えない理由は「彼のエネル
ギー源が光であり、地球の太陽はウルトラの
星に比べて光が弱いから」と、
怪獣図鑑その他で、繰り返し説明されていた。
等身大になったとき、これはどのように
影響するのか? 身長が1/22.2になると、
太陽光を受ける体の面積は、その
2乗で、1/494になる。また、
決まった時間に消費するエネルギーは、
身長の3.5乗に比例して 1/5万1700となる。
つまり、ウルトラマンが太陽エネルギーを
その体表から受け取っているとしたら、
等身大になった場合、補給できるエネル
ギーの減少率のほうが、消費するエネル
ギーより105倍も小さくなる。
その結果、現状より105倍も長く戦える
可能性があり、それはなんと 315分=5時間15分!
これは、大変なことになってきた。
仮面ライダーは 肉弾戦も空中線も持久戦も
封じられてしまい、もう手も足も出ない。
当然、自らの有利を確信したウルトラマンは、
怒涛の猛攻を見せるだろう。
まずは、ウルトラキックだ!
『全ウルトラ戦士超百科』(講談社)には、
ウルトラキックについて「てきの弱点
をみさだめて。1ぱつできめるんだ」と
説明している。
『「格闘技・奥義」の科学』(吉岡康郎/講談社)
によれば、体重71kgの
キックボクサーが、ローキックで
1189kgの衝撃力を記録したという。
ウルトラマンは、体重に相応するキック力を
持つと考えるべきだろうから、その場合、
ウルトラキックは、53.4t!
仮面ライダーは、なんとしてもこれを
かわすべきだ。そして、もうアレコレ
考えずに、最後の必●技を出すしかない。
そう、ライダーキックだ!
ライダーキックが、体重3.2tの
ウルトラマンに効くのかという懸念はある。
だが「仮面ライダーカード」No.289には、
ライダーキックについて
「せんしゃでも、いちげきで、はかいするつよさだ」とある。
おお、これはすごい!
戦車を一撃で破壊するとしたら、
同じ形式の戦車が 全速力で衝突した場合が
考えられる。自衛隊の90式戦車は、
重量50t、最高時速70km。これが正面衝突し、
ともに、車体が1m 凹んだとすれば、
衝撃は964t。
ライダーキックにも、
これに匹敵する衝撃力があるということだろう。
すると威力は、ウルトラキックの
18倍だ。やった~!
これさえ決まれば、
仮面ライダーは、一気に形勢逆転...!
えっ!
仮面ライダーも、
取締の対象なんですか?
備考:この内容は、
2016-12-2
発行:KADOKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 14」
より紹介しました。