芸能人の皆さんは、お正月になると、
よくハワイへいらっしゃいます。
わたしもハワイは好きなので、2年に1回
くらいは、訪れます。
売れ始めたころ、テレビ局が
わたしの追っかけ番組を作るということで、
ハワイまで追いかけてきた
ことがあります。
そのテレビを見た人たちから
「さすが、きみまろさん、
やっぱり芸能人ですね」
と、言われたのですが、
わたしが、ハワイに行くのは夏休みでして、
お正月には、行ったことがありません。
だから、「芸能人のパターン」には、
当てはまらないのです。
それに、そもそもわたしは、
自分のことを芸能人とは思っていません。
芸能人という意識が芽生えたときは
終わりだな、と思っているくらいです。
芸能界の方々は、皆さん、華やかです。
「オレが一番」
「わたしはきれい」
「ボクがこの番組を支えている」
みたいな意識を持っている人もいると
聞きました。
自己顕示欲が、強い人も多いそうです。
これは、もちろん批判ではありません。
競争の激しい芸能界で生き残って
いくには、不可欠な資質だと
思っています。
ただし、周りから、あんまりチヤホヤされて、
テングになっちゃう人も
いるそうです。いいことだとは思わないけれども、
気持ちはわかります。
でも、わたしは、テングには
なれない性分です。なりたくても、なれないのです。
おじいちゃんの下半身と同じです。
気持ちはあるけど、できません。
「芸能人でないのなら、きみまろ、
お前はいったい何なんだ?」
と、聞かれそうです。
そう聞かれたら、
「わたしは、しゃべり屋です」と答えます。
あるいは、
「漫談家です」と。
わたしは、30数年間、口八丁だけで、
生きて来たようなものです。大学生の
ときに、はじめたキャバレーの司会から、
ずっと口を動かし、たまに手と足を
動かすだけ。
わたしの芸は、しゃべりだけ。
だから、しゃべり屋です。
「他人様に芸を見せるんだから、
やっぱり芸能人じゃないの?」と聞かれても、
「芸能人の皆さんと自分とは
まったく違う生き物です。だから、
やっぱり、わたしは、しゃべり屋です」
と答えるでしょう...。
備考:この内容は、
2009-7-27
発行:PHP研究所
著者:綾小路きみまろ
「こんな夫婦に誰がした?」
より紹介しました。