日常を円滑に過ごすために、当たり前のようにしている「あいさつ」。
一方で、不思議なことも多い「あいさつ」について、
あれこれ考えてみます。
【「!」の効用...】
先日、あるニュース記事がインターネット
界隈で話題になっていると知りました。LINE
などのSNSにおける「おばさん構文」という
ものについての記事です。相手に贈る文面に
おいて年配の人がやりがちな特徴を、
「おばさん構文」「おじさん構文」などと
いって揶揄することがあるようです。
「絵文字を多用する」「文章が長い」など
特徴はいろいろあるみたいですが、中でも
ドキリとしたのは、「文章の最後が”。”で終わる」
というものです、”。”つまり
句点ですね。
句点で終わるのは当たり前じゃないか、
と年配のこちらは思うわけですが、若い人は
短い文章のSNSで、ぱぱっと、やりとり
することに慣れているので、句点を余り
使わないとのことなんですね。
可視化に、LINEなどの会話のヴィジュアルは、吹き出し型
になっていて、自分の会話が終わったことは、
最後に「。」を付けなくても示せます。
それなのに、わざわざ「。」を付けて
終わらせて書いているということは...と、
読む側の人たちにとって、そこに意味が出て
しまうわけなんですね。
「怒っているように見える」
「会話を打ち切られたように感じる」
「厳しい雰囲気が漂う」ということのようです。
そうだったのか? と衝撃を受けた私は、
これからはLINEの文章の最後に句点を
付けるのをやめようと思いました。
でも、何も付けずに会話を終わらせるのは
なんとなく落ち着きません。
ある若いコメンテーターが。
「”!” をつけると、いいですよ」
と、言っていました。
「!」のつまり、エクスクラメーションマーク、
感嘆符、いわゆるびっくりマークですね。
確かに、「!」という記号には、
明るく元気なイメージがあります。
「よろしくお願いします」と、
「よろしくお願いします!」
の、どっちを言われるのが
いいかと考えると、
「よろしくお願いします!」
のほうが気持ち良いあいさつに
感じられます。
よし、これからは、エクスクラメーションマークだ!!!」
と思ったわけです。
ただ、ちょっと、びくびくする
気分もあります。というのは、私が作家として
デビューした20年くらい前に、
ある先輩作家の方が、
「記号はできるだけ使わないほうが
いいらしいよ。上の世代の作家は、”!”は
もちろん”?”を嫌う人も多いから。
そういう記号に頼らずに、文章の力だけで、
気持ちや疑問形を表現しないといけないらしい。
まあ、でも、ぼくは気にせず、”?””を
使っているけどね。でも、”!”は、
あんまり使わないかな」
と、教えてくれました。
それから、私は、記号を使うときに
びくびくするようになりました。記号ではなく
文章力で表現する、というのは、
一理あります。
言葉だけで伝えるから面白い、という
考え方もあると思います。
”...” という3点リーダーも、上の世代の
作家は、あまり使いませんよね。”( )”(カッコ)
はかなり嫌われています。会話も、
”「 」”「カギカッコ」を使わない人がたまにいます。
大昔の作家になると、句読点もなかった
わけです。平安時代だと、記号なんか
まったくないですからね。
『源氏物語』は、
ここまで会話文なのか判然とせず、研究
界隈でも、まだ議論が続いている箇所があります。
ともかくも、書く側はいわゆる
文字だけで表現をし、読む側はそれを読み解く、
という文学界隈での遊びは、
とても面白くはあるのです。
ただ、私としては、反骨心もあるもので
すから、びくびくしながらも、「言葉は
時代とともに変わっていくのだし、記号と
文字を区別する必要があるのかも
わからないし、現在にあるものは、なんでも利用
と小説の中でも
記号を使ってきました。
そんなわけで、今、SNSでは記号多見
しようとあっさり思った
わけなんですが...。
でも、呪いのようなものにもかかっていて、
「記号を使うときに、ちょっとびくびく
する心」というのは、生涯私につきまとうのです。
作家になる前、私は新聞のラテ欄を
配信する会社に努めていました。「ラテ欄」というのは、
ラジオ・テレビ欄の略です。
テレビ局の広報の方が書いた「番組の内容紹介」の
文章を新聞記事の形に流し込み、新聞社に
配信します、テレビ番組や新聞は、緊急で
変わることも有るので、書き直しや
校正を何度も繰り返します。
重要な記事もあり、
それを打ち間違えると大変なことになりました。
デスクがテレビ局や新聞社に謝りに
行っていました。私は間違えたことが
何度も有り、始末書を何度も書きました、
向いてなかったと思います。ただ、その校正の
仕事は面白かったです、文字数が
決まっている中にきっちり言葉を収め、
一文字も間違えないように注意する、という仕事は
わくわくしました。
ラテ欄の校正に「組み合わせ」という
2人1組で口に出して読み合って間違いを
拾う作業がありました。
その差異、エクス
クラメーションマークのことは、「雨だれ」と
言っていました。
雨が垂れてくるような
形をしているからでしょう。”!!”
のことは
「ダブル雨だれ」と行っていました。
(20年ぐらい前のことなので、本当にそうだったのか、
また、今もそうなのか、ということまでは
自信がないですが...)。
テレビ番組の内容紹介の文章には、
雨だれ(エクスクラ、エーションマーク)が
たくさんありました。
なぜかというと、
空白を作っては行けないので、文字数が
余ってしまったときに、”!”で埋める
のです。
”!”には、これといった意味が
なく、それでいてテンションを
揚げられるので、番組紹介にぴったりだった
んですね。
ともかくも今後の私は、テンション
を揚げて、!!!を多発します。小説でも
もっと使っていこうかな。
「おはよう」よりも、「おはよう!」
のほうが、気持ちが良いものですものね。
普段の喋り方も、「よろしくお願い
します」ではなく、「よろしくお願い
します!」と語尾にエクスクラメーション
マークを付けた言い方にしていこう
かな、とも思っています。
備考:この内容は、
2024-6-10
発行:PHP研究所
「PHPスペシャル」
より紹介しました。
ひなちゃん、
銅メダル獲得おめでとう!!
バレーボール女子、ケニアにストレート勝ち
おめでとう!
シダマツペア、同メダル獲得、
おめでとう!
プロポーズ、
おめでとう!
(筆者の感想)
うっ...!
どれも、感動で、涙が止まりません!
筆者も、今カノに、ポロポーズしようかな?
西野カナ?
倉科カナ?
きゃは!
せっかくの感動の内容が、
最後、これで、全部ぶち壊しね。
元カノも、いないくせに!