最近は、一緒にゴルフを楽しむ
ご夫婦も多いようです。私は、ゴルフを
やりませんが、和合のためには、
「夫婦でゴルフ」は、避けたほうがいいようです。
「一緒にゴルフをやるたび、
女房のセコさにうんざりするよ」、そう語る
私の知人の話を紹介しましょう...。
「せっかく、女房を連れて行くんだから、
オレとしては女房に、優雅な気分を
味わってもらいたいんだ。
でも、ゴルフ場のレストランで、メニューを見た
女房の第1声は、
「700円! 何で、コーヒーが700円もするの?
私は、水でいいです!」。
オレがウェートレスに
気を使いながら、
「この松花堂定食っておいしいよね?
2人前頼むよ」と
注文しようとすると、すかさず女房が
「待って! 3,000円! 高い
私は、サンドイッチでいい!」。
2度目に連れて行った時は、
女房がキャディさんに、「これ、どうぞ」と
袋に入ったものを渡しているんだよ。
「何、渡したんだ?」
と、聞くと、
「お中元でもらった、残り物の
洗剤があったのよ。それを渡したの」
「何で、そんなものを?」
「だって、あなたがこの前、
売店で洗剤を買って、”心付け”って、キャディ
さんに渡していたでしょう。あれ、
1,000円もするのよ。家から持ってきて
渡したほうがいいと思って」。
オレ、気が滅入って、スコアなんか
ボロボロだったよ...」
奥様を助手席に乗せての
ドライブも問題が起こりそうです。
私は、免許を持っておりますが、
長時間、同じ姿勢で運転するというのが
ダメです。眠くて仕方がなくなるのです。
私の女房は、助手席で黙って座って
おりますが、
友人の奥様はしゃべり
続けだそうです。
「ホラッホラッ! 左、左!
左から車が来たわよ! 前からトラック!
そこはゆっくり! 右見て!
人が出てきたらどうするのよ!」
この友人は、「お前が運転しろ!
オレは歩いて行く!」と、
怒って車を降りたこともあるそうです。
夫婦一緒のドライブは、カーッ(車)
と、してしまうことが多いのです。
下から読んでも「ふうふ」。
若い頃は、上になったり、
下になったりして「ふうふうふう」
といったこともありました。
でも、いまは、そんな元気もありません。
若い頃は、お互いを見つめ合い、
満足してきました、でも、今はお互いの
顔を見れば、腹が立つだけです。
そんなご夫婦にぴったりの趣味は
芸術鑑賞です、お互いを観るのではなく、
映画や舞台を一緒に観る。
美術館もおすすめです。
「え(絵)っ!」って、脈略の
ないシャレはやめて! シャレをいうのは私。
芸人のお株を奪わないでください。
ここまで、話してきた甲斐が(絵画)
ありません。
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「きみまろ、温泉なんかどうかな?」。
苦労をかけた奥様へ感謝して温泉旅行。
夫婦和合のための名湯めぐりの
趣味はポンポーン! ご名答です。
ただし、豪華な料理が出てくる
旅館はおすすめできません。
「ま、松阪牛だ!」
「だめよ、お父さん!
肉はお医者さんから止められて
いるでしょ!」
「じゃあ、この伊勢海老を...」
「だ~め! これ以上メタボに
なったら、どうすんの!
食べないと料理が残る? 大丈夫よ、そんなもったい
ないことしない。私が2人前ぜ~んぶ食べるから」。
目の前の料理が食べられない。
ショック(食)です。
土地の山菜しか出ない、ひなびた
温泉にしてください。奥様より鄙びた温泉。
浴室は薄暗く、お湯は名湯ならではの、
にごり湯。ひなびた温泉で、お互いの
「しなびた容姿」は見えないので、
思いっきり若い頃の追憶に浸れるのです。
「お父さん、新婚時代を思い出すわね。
あなたに付いてきてよかった」
久しく聞いたことのなかった
奥様からの感謝の言葉。
「そういえば、あの頃は、お風呂に入るたび、
ムラムラしてたなぁ...」、
新婚の頃は、毎晩のように洗い場に、
奥様を●●●していた。
あれから40年!
名湯につかっているのに、
かつての名刀はピクリともしないのです。
勝手気ままなことを言わせて
いただいたお詫びの言葉で、締めさせていただきます。
「趣味(すみ)ませんでした!」。
備考:この内容は、
2011-4-11
発行:小学館
著者:綾小路きみまろ
「あの顔その顔この顔で、
謹んでお慶び申し上げます」
より紹介しました。