【強がり、負け惜しみは
おいしくない...】
好きだった人を悪く思う、
”すっぱいブドウの法則”
ある瞬間から、「今まで大好きだった
相手を嫌いになってしまう」ことがあります。
急に相手に、怒りを覚えてしまうことがあります。
なぜ、そうなってしまうのでしょう?
イソップ寓話に、こんな話があります。
キツネが山を歩いていると、
おいしそうに実ったブドウを見つけました。
なんとか取ろうとして、キツネは
何度もジャンプしてチャレンジしますが、
ブドウは高いところにあって届きません。
すると、キツネは、
「ふん! どうせ あのブドウは、
酸っぱくてまずいはずだ。
別に最初から、欲しくなかったのさ」
と、捨てゼリフを残して去って行きました。
この寓話は、手に入れたくて、たまらないのに、
手が届かないもの
(仲良くしたい、成績が欲しい、結果が欲しい、
地位や名誉が欲しい、成功したい、もてたいなど)
に対して、それらを、価値のないもの、
自分にふさわしくないもの、
必要のないものとして、いったんあきらめることで、
納得しよう、正当化しようとする
人間の心理と同じものです。
これはフロイトの心理学において、
「防衛規制」と言われています。
この、酸っぱいブドウの場合、
「本当は価値がなかったと 思い込むことで、
自分を傷つけないようにする」
というパターンです。
これが、人間関係の場合、仲良くしたかった
人が、振り向いてくれない、かまって
くれないときなどにも、
「仲良くなる価値はない」
と思おうとし、それが高じて、
その人の悪口を、言いふらしたりする
ような行動に出る人もいます。
親に愛してもらえなかった場合にも、
「別に愛情なんて欲しくないよ」と、
横を向き続けたりするのです。
「防衛規制」には、ほかにも、
「自分は今、ブドウを、
かじりたくないんだ」と、
自分の欲望を押し込め、強がりを
言って納得しようとする。
人間関係の場合、もともと仲良く
なりたくなかったんだ、好きじゃ
なかったんだ、とその人の欠点を探して
自分を納得させる。
「自分は、本当は、ブドウを食べたいんじゃなくて、
リンゴを食べたいんだ」と
自分の本当に欲しい物をすり替えて、
納得しようとする。
人間関係の場合、本当はAさんではなく、
Bさんが好きだったんだ、
と思う人に置き換えて納得しようとする。
という行動に出ることもあるようです。
こういったパターンを続けることで、
くじけグセ、あきらめグセがついて
しまったりして、仲良くなるチャンスを
逃がしてしまうことがあります。
だから、目の前の人と、人間関係を
築くことが、
「今の自分には、できないんだ」
という、現実を受け止めてみてください。
つまり、相手を悪く思ったり、
負け惜しみを言ったりするのではなく、
「できない自分」を認めるのです。
それができると、そこから初めて
関係が始まるのかもしれません。
それは、「できない自分」ではなく、
「今はできない」「今はやらない」
というだけのことかもしれませんから。
そして、「本当は好きなんだ」
「本当はやりたいんだ」という気持ちも
ウソをつかずに、認めてあげてください。
余談ですが、「甘いレモン」という
話もあります。せっかく苦労して手に入れた
ものだから、絶対に価値があるんだと
思い込んで手放せなくなる、という
心理です。こういうのを、「執着」と
呼ぶのかもしれませんね。
手放してみれば、
「あれ? 私、何にこだわってたのかしら?」
なんてことに...。
備考:この内容は、
2011-2-2
発行:中経出版
著者:心屋仁之助
”人間関係が「しんどい!」と
思ったら読む本”
より紹介しました。
ブドウが食べたい自分を認める。