...「無事ゲーム」と呼ばれる模擬法廷を
司どっていた結城響が●を落とし、幼馴染
である織本美鈴が●人の容疑者となる。長瀬
さん演じる久我清義は、事件の第1発見者
にして、美鈴の弁護を担当するという複雑な
役柄です。初の弁護士役ということで撮影前に
裁判の傍聴にも行かれたそうですね?
永瀬廉> 裁判のシーンもありますし、裁判所の
雰囲気や裁判の緊張感は自分の目で見て、
肌で感じておきたかったんです。
実際に行ってみると、厳粛な雰囲気に圧倒されましたね。
被告人の方や弁護士の方の動きも注意
深く見て、その空気感を頭に入れて演じて
いました。役作りの面でいうと、本読みの
ときに(深川栄洋)監督が ”空気感はその感じ
でいい” と言ってくださったので、あとは、
シーン毎で、どこまで感情を出していくのか
の相談をさせてくださいと、お伝えして現場
に望みました。
台本を最初に読んだときに
まず考えたのが、そこだったんですよね。
事態が二転三転する中で、揺れ動く清義の
感情をどこまで出すべきなのか。美鈴や
響も含め、現場でみんながどういうバランス
で来るのかによるなと思いながら台本を
読んでいました。
...清義という人間を演じるときに大切に
されたのはどういうことですか?
永瀬廉> 清義自体はすごい正義感が強くて大胆な
ところもある。でも、過去に大人の汚い部分
を目の当たりにしていて、人をなかなか
信じられない。しかも、過去に犯した過ち
で、ちょっと歪んでしまっていた自分の中の
正義感が、響と出会ったことによって、
二転三転していく。その清義の感情の細かい
グラデーションはかなり意識していました。
わかりやすくはっきり表に出すわけではない
と考えていたので、そこの加減は難しかったです。
...そうした感情のグラデーションが
長瀬さんらし繊細さで表現されていますが、
演じながら清義に共感できた部分は
ありますか?
Ren> 清義の人生にはいろんな事が起きて
いるんですけれども、たくさん迷いを重ねて、
自分で最後の決断を下す。その迷いから
決断までのストロークは、日々、状況によって
変わっていくし、それこそ体調によっても、
変わるくらいnレベルで悩み抜いている
わけですよね。
僕自身はこれほどまでの悩み
を抱えたことはないですけど、それでも
この世界に入って、決断をしなければ
ならなかった経験はいっぱいあるので、決断
までの厳しさや難しさはすごく共感できましたね。
清義が下した決断は自分が一番著買った
と思うんですけど、大事なのは、結局、自分が
何をするべきかとうところなのかな?
...深川監督は1つの場面をさまざま
なかたちで見当されるので、現場でいろいろ
お話されることも多かったとか。演出で
印象的だったことはありますか?
nagase> ”息使いを大事にしてほしい”と言われた
んを覚えています。前が見えなくなる感覚
というか、雲の上を歩くような感覚みたいな。
本当に歩けているのかというような
清義が感じる息苦しさを、息使いという
形でちゃんと表してほしいと、何回も
言わました。息使いが荒くなってくる感じも
”徐々に荒くしてみて”と。
現在のシーンでも、過去のシーンでも、
清義の中で
生まれている感情を息使いでも表現してみてと
いうことは、ことあるごとに言われましたね。
そこらへんは、ちょっと難しかったです。
備考:この内容は、
令和5-10-21
発行:近代映画社
「screen 2023年12月号」
より紹介しました。