【異なるベクトル...】
阪本> ところで、純さんは、750ccで物足りない
ことはあると思いますか?
山田> 日本では、まずないでしょう。確かに
中低速トルクとかパンチは排気量が
大きければ出しやすいけど、それもエンジンの
味付けで変えられるしね。また大きいモノ、高価な
モノが欲しいってのは、最初の衝動だと思う
んだ。
落ち着いてくると、やっぱり1リッター
以上のバイクは重いから750くらいが
いいって思う人もいる。だから、ちゃんとして造りで
購買意欲をそそるものであれば、ナナハン需要は
あると思う。単純にZRX路線の1100と750が
あったら、僕は1100を買うけど、パフォーマンス系の
バイクは、乗りこなせるかどうかは
別として、やっぱ1100だぜと(笑)。そういう
のはあるでしょ。
阪本> けれど、両車はそもそも求めてる
ベクトルが違うから、そういう関係じゃないと。
山田> そう、だから何気ない格好にした
空冷4発で元気よく走ったら、意外性もあって
面白いと。ZR-7はそれをねらったんだと思う。
阪本> そうですね。ZRXは基本的に素直で
切り返しも軽いけど、生半可な速度だとサスが
跳ねて、ちょっとつかみにくい。その点ZR-7
はかなり飛ばしてるとリヤサスが収束しない
感じにもなるんだけど、わりとそれがつかみ
やすい範囲で起こっているというか...。
山田> ZRXは、スロットルのオンオフで
かなり挙動が変わるでしょ? グッと加速したり
減速したり。あれはコントロールして使い
切れる人だったら最高に面白いんだけど、一般道
のワインディングは 見通しのいいとこばかり
じゃないからね。
阪本> というわけで、目指してる方向が
ちょっと違うだけに、比較が難しい2台...。
山田> どっちを選ぶかじゃなくて、どっちの
タイプが好みという感じかなぁ。ZRXは硬派
の走り屋のためのネイキッドで、ドカンって
いう男っぽいパワーフィーリングがテイスト
だろうし、ZR-7は、まろやかで扱いやすい
んだけど、ナナハンらし中低速の盛り上がり
をきっちり持ってると。
阪本> テイストの意味が違うと。ところで、
値段は、30万円弱違いますね。
山田> ZR-7がねらってるところがわかるね。
ZRXは多少高くても、パフォーマンスの
カワサキらしさを欲しい人は求めるだろうし。
阪本> ZR-7はには、どんなユーザー層がつくのか
見えにくいのは、従来のカワサキ党以外の
層もターゲットにしてるからでしょうね?
山田> 他メーカーのモデルのオーナーも、
ちょっと今までのナナハンと違うぞと、興味を
持つかも? 大きなリッターパフォーマンス
路線に、辟易してる人もいるだろうし...。
阪本> しかし、最近の750、特にネイキッドは
良くも悪くも優等生的といえますね。
山田> 時代の流れだよね。リッターの
ギンギンのパフォーマンス路線があって、それと
同じ造リ込みで750作っても 購買層が限定される。
だから、そうしてないんだ。阪本はギンギンの
750が好みかもしれないけど(笑)。
阪本> メーカーの販売戦略的にも、うまく
棲み分けされた2台なんでしょうね...。
備考:この内容は、
平成11-6-15
発行:八重洲出版
「MOTOR CYCLIST」
より紹介しました。