国産メーカーのモデルだけど、
製造は海外で、日本にやってきました!
「帰国子女のクルマ 今昔」
情報が届いた時
「アコード、お前もか!」
って思ったけれど、冷静に
考えるとホンダらしいと
感じたことも事実だ。
これは、長い歴史を
もつアコードの話である。
シビックともども世界
戦略車に成長したから、
ホンダはグローバルで生産の
効率を高めることに
力を入れた。
世界各国で販売されている
アコードは、海外の
ホンダ工場で生産されている。
ご存知の人も多いだろうが、
先代の10代目モデルから
アコードの日本仕様は
タイのアユタヤ工場で生産
され、日本に送り込まれているのだ。
最新の11代目アコードも、
タイ生産の帰国子女
モデルなのである。
11代目アコードは、アメリカ
と中国、そしてタイで
生産を行っており、日本
より、ひと足速く北米や中国で
発売を開始した。
3月から
日本でも発売されたが、
主戦場の北米と違って、販売
台数は、それなりだし、輸入車
だから、最新のアコードも
モノグレード構成としている。
ただし、ホンダアクセスが
ドレスアップパーツを
用意し、2種類のスタイリングを
提案した。
気になるのは、タイ製の
アコードのクォリティ
だろう。
上級クラスの
セダンだけに品質や見栄えを
気にする人が多いはずだ。
エクステリアは4ドアクーペ
のように伸びやかなフォルムで、ボディパネルは
凝った面構成ではない。
しかし、前から後ろまで破錠が
ないし、チリ合わせなども
きちんとしている。
いろいろとアラ探ししたが、
かつての日本製アコード
よりエクステリアも、
インテリアも質感と見栄えは
いいように感じた。
ダッシュボードは、ソフトパッドで、
覆われ、樹脂部品の見栄えも
手触り感も上場だ。
グーグルのインフォテイメント
システムも北米仕様に
先駆けて採用している。
フル液晶のメーターと
12.3インチの大型ディスプレイ
は見やすいし、サイズ
を拡大したヘッドアップ
ディスプレイも重宝した。
なかでも、便利だと感じたのが、
エアコンの温度設定や
オーディオ、照明などの
車内機能を一括して行える
エクスペリエンス
セレクションダイヤルだ。直感的に
操作でき、使いやすい。
走りの実力も大きく
進化している。スポーティな
味わいだし、快適性も
日本製のライバルを凌ぐ
ほど高いレベルにあると
感じた。
プラットフォームは
改良版だが、新しい車両
統合制御技術などの採用に
より意のままの気持ちいい
ハンドリングを実現している。
心臓はシリーズ・パラレル
切替式の「e・HEV」
だけに絞り込んだ。
だが、2Lの直列4気筒
エンジンは、先代のポート噴射
からシビックなどと同じ直噴
アトキンソンサイクル
エンジンに変わり、2モーター
内臓の電気式CVTも同軸
モーターから平行軸モーター
へと変更している。
数値的には、先代と大差ないが、
パワーフィーリングは
大幅によくなり、発進から
加速までスムーズかつ
軽やかだ。スポーツモードを
選ぶと、応答レスポンスと
ダイレクト感はより鋭く
なり、エンジン音も耳に
心地よい響きに代わっている。
が、新型アコードで
驚かされたのは、ボディサイズを
感じさせない軽やかな身のこなしだ。
ステアリングの
応答性は、スポーツカー
並に正確で、ノーズが
気持ちよく向きを変える。ボディや
フロアなどの剛性も高い。
スポーツモードだと、
乗り心地は、ちょっと引き締まった
印象だが、これは、
アラ探しといえるだろう...。
20世紀の帰国子女モデルは、
組み上げ制度や部品に
問題を抱えているクルマ
もあった。
だが、今の帰国
子女モデルは、最先端技術と
最先端設備の工場から
生み出されている。他の工場との
品質競争も熾烈だから、
クォリティの面では日本製と
遜色ないか、それ以上の
レベルにあるのだ...。
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【最近だいぶ増えました!
現行モデルの”帰国子女”...】
近年、国内自動車メーカーが、
国内生産だった
モデルの生産を海外に移管したり、
海外モデルを日本に
持ち込んだり...という
ケースが増えている。
ここでは、現在国内で
輸入出来る現行モデルの
”帰国子女”たちを紹介していきたい...。
「MITSUBISHI トライトン」
(タイ生産)
2011年まで日本でも販売されていた
先々代モデル同様、タイ生産で再上陸。
ピックアップトラックでよく使う言葉だが、
快適性などでは、文字通り
「乗用車のような」仕上がりとなっており、
日本では、マニアックなジャンルながら、
大きな反響を集め、三菱自動車復活に
大いに貢献中...。
「HONDA WR-V」
(インド)
生産されるインドでは、
エレベイトと呼ばれるコンパクトSUVの
日本仕様。
開発はタイを中心に行われ、
新興国向けのモデルらしくパワトレーンは1.5L+FFとなるなど
簡素ではあるが、室内空間の広さと、最上位グレードでも、
258万9300円という低価格は大きな魅力だ。
「TOYOTA ハイラックス」
(タイ)
タイ生産という形で、日本では
2017年に、13年ぶりに復活した。
乗り味にトラック的なところがあるのは、
否めないが、若々しいアグレッシブさとワイルドさを
感じさせるエクステリアは、いまだ魅力的だ。
走りの性能をさらに高めた、モータースポーツ
直結のGRスポーツも設定する。
「HONDA オデッセイ」
(中国)
コンセプトを変えた、現行5代目モデルは、
日本で生産を担当していた狭山工場の閉鎖
により、2021年で絶版となったが、
継続生産されていた中国製を
日本仕様とする形で復活した。
全体的なクォリティは日本生産時代と遜色ないが、
オデッセイの魅力だったコスパの高さがなくなった
のは残念...。
「NISSAN キックス」
(タイ)
先代ノートなどと同じVプラットフォーム
を使ったコンパクトSUV。
日本での登場は、2020年だが、
基本的設計は2016年と時間が経って
いることもあり古さを感じる面も否めず、
価格に割高感もあるが、
e-POWERのEVライクな走りは魅力。
なお、アメリカでは、次期型が
発表されている...。
「TOYOTA GRスープラ」
(オーストリア)
2019年に17年ぶりに復活。
復活にあたり、いかにトヨタでもこのクラスの
スポーツカーを単独開発するのは、
難しく、現行スープラは、Z4の兄弟車
という形でBMWと共同開発され、
生産はオーストリアの
マグナシュタイアが担当する。
好みが分かれるモデルだが、
それもスポーツカーらしい。
「TOYOTA タウンエース」
(インドネシア)
先代モデルはまでは、
トヨタ車体が開発
していたタウンエースだが、現行モデルは
ダイハツが開発。
生産もダイハツの
インドネシア工場となり、
サイズもトヨタ車では、かつてのライトエース級に
小型化された。
このクラスの1BOXカーは貴重なのに加え、
運転を楽しめるMTも設定。
「MAZDA CX-3」
(タイ)
マツダ2(かつてのデミオ)を
ベースにしたSUVで、
最低地上高が高く
ない点や広い室内ではないことなど、
スタイリッシュかつスペシャリティ
なキャラクターが濃い。登場時は、
日本製だったが、2022年後半あたりから
タイ星さんに以降。
ただ、クオリティなど
日本製との差はまったくない。
「SUZUKI エスクード」
【ハンガリー】
千んだいモデルまでは、クロカンSUVの
キャラが強かったが、2015年登場の現行モデルは
乗用車的なSUVに移行。
現行モデルから、ハンガリー生産で、
そのせいもあるのか、ヨーロピアンな雰囲気も感じる。
登場時1.6LNAだったパワートレーンは
1.4Lターボを経て、現在は1.5Lハイブリッドだ...。
備考:この内容は、
2024-5-26
発行:講談社
「ベストカー5月26日号」
より紹介しました。
一部、記事内容とあまり関係ない
画像を盛った点、
お詫びします。