(昭和55年当時)
【リストアップされた製品の
最低価格の組み合わせ...】
スピーカ/ビクター SX-3Ⅲ 39,800円☓2
アンプ/テクニクス V6 59,800円
プレーヤー/トリオ KP-F500 46,000円
合計 185,400円
亀山> この組み合わせの音には、合計値段から考えると、
それなりに 納得出来るところがあります。
SX-3Ⅲをそのまま
残して、アンプやプレーヤーの値段を、今より下げると、
どうなるか? やってみないとわかりませんが、この
スピーカの能力から見れば、この組み合わせでは、能力を完全に
出し切っているとは、思えませんが、少なくとも、このスピーカの
持っている魅力、特色は十分ではないにしろ、出せたような
気がします。
このスピーカの場合には、他の機器との
バランスに関係なく、どんどんグレード・アップしてやれば、
それに充分応えられるスピーカだなというのが
第一印象です。
他の機器をグレード・アップしたいとい気持ちですが、
ここでは、むしろアンプやプレーヤーをグレード・ダウンして、
もっと安くて、今のようなグレードが得られるかどうか
挑戦してみたいわけです...。
音楽之友社・編集部
「スピーカー/ビクター SX-3Ⅲ」
「アンプ/テクニクス V6」
「プレーヤー/トリオ KP-F500」
【アンプを2万円下げて
トリオKA-60にしてみる...】
「アンプ/トリオ KA-60」 38,000円
中村> このSX-3Ⅲというスピーカは、ボクの好みのタイプ
なのですが、この組み合わせでは、弦がちょっと金属っぽく
なくなってしまって気に入りませんでした。
次は、アンプを2万円下げて、
38,000円のものにしたのですが、金属っぽさというところに
集中して聴いてみますと、もう少し強調されてしまった
ような気がします。しかし、2万円近くの差は
ないように思いました。
亀山> この2万円の差は、やはり大きいと思います。
音の輪郭は、あまり変わらないけれど、中身が薄くなってしまう。
ケチらず、がんばって2万円 出してほしいです。
瀬川> まず、結論から言ってしまうと、トリオKA-60と
テクニクスV6の差は、値段が違いますから、当然といえば
当然ですが、誰かから相談されれば、あと2万円フンバリ
ませんか? とは言ってみたいですね。
竹内まりやなどを聴いて
みますと、KA-60はアンプの値段を頭に入れて考えて
みると、この値段のアンプとしてどうなのかといえば、値段以上の
音を出すと思います。
しかし、トータルの組み合わせとして
ある1つの水準の音をまとめたい。
この水準以下は譲れないぞ
というボク自身の体験からくるボーダーラインが
あるわけです。
KA-60だと、どうしても肉づきが薄くなっちゃう。
竹内まりやの声がハスキー気味で、うわずってしまう。
そういう差は、やはり大きな差だと、ボクは思っていますから、
2万円 ガンバってほしいですね。
瀬川> ボクが、この組み合わせで選んだトリオKP-F500
というプレーヤーは、もうこれ以上譲れませんというボクにとっての
最低のボーダーラインなんです。
このプレーヤーには、
あらゆるレコードに対して、
いいバランスで、聴かせてくれる
オルトフォンのカートリッジが付いています。
39,800円のプレーヤーすべてでは
ないのですが、ローコスト化した
デメリットが、あちこちに出ています...。
【トリオKP-F500にシュアーの
M95HEを追加するとどうなる...?】
瀬川> 今度はトリオのプレーヤーにシュアー95HEをつけた
音を聴いたわけです。それから、あらかじめ用意しておいた
もう1つのプレーヤー、
「サンスイ/プレーヤー FR-Q5」
を、これは
エンパイアのカートリッジがついているわけです。この2つの
プレーヤーを聴いてどうでしょう...?
中村> 竹内まりやなど、エンパイア付きの
サンスイのプレーヤーが、いいですね。
瀬川> そうです。そうすると、カートリッジに2万円出す
必要が無いわけだ。カートリッジが違うので...。
そのことだけでも、
かなりプレーヤーの音を支配するわけですが、例えば、
竹内まりやのヴォーカル、ニューミュージックなど、
サンスイのプレーヤー(エンパイア付き)は、
非常に良い音で聴けました。
トリオのプレーヤー(オルトフォン付き)は、どちらかといえば
クラシック向きという違いがあるわけです。
これは、カートリッジの差でも、
ありますが...、
そこで、トリオのプレーヤーから付属のオルトフォンを
はずして、シュアーの95HEにして聴いてみて、ボクも
これだったら、あえて2万円追加してシュアーにする必要がないな
と、感じました。
この系統の音だったら、トリオ+オルトフォン
というオリジナルのままでいけるんじゃないか?
と思います。
亀山> 音を聴いてみますと、この組み合わせでは、アンプを
2万円ケチって、カートリッジにかけるより、アンプを
おごったほうが、より生きる、効果があるなと思います。
中村> トリオ+シュアーは、SX-Ⅲの性格をずいぶん
変えてしまうような気がしますね。
むしろ、サンスイ+エンパイアの
ものが、音が軽快で、ボクはこれが好きです。ですから、
付属のカートリッジのままの方が、いいように思います。
瀬川> おわかりいただけましたか?
実は、この2台のプレーヤーは、このクラスとしては、
そして、それぞれの個性があり、聴くに
値する付属カートリジが付いているという点で
数少ない良心的な製品だと思います。
あとでカートリッジ追加するんであれば、
はじめからカートリッジなしのプレーヤーから
という手がありますね。
カートリッジなしなしというのは、以外に安いところがないんです。
豊富に種類が増えてくるのが、
6万円ぐらいからですね...。
備考:この内容は、
昭和55-7-31
発行:音楽之友社
「オーディオ基礎知識」
より紹介しました。