SF映画の代名詞といえば、
「ロボットもの」。
これまで多くの
ロボットが主役の映画が、作られて
きたが、1986年に公開された
『ショート・サーキット』ほど、
愛されたロボット映画はない。
あのピクサーも『ウォーリー』を作る
際に、影響を受けたくらいだから...。
世界最先端のロボット開発会社
NOVAは、来たるべき●戦争に
備えて軍事用ロボットの舞台を開発。
軍関係者や、議員へのお披露目の日、
突然の落雷によって、ロボットの
1体「ナンバー・ファイブ」が、
回路不良になり暴走。
外の世界へと
飛び出してしまう。行方不明に
なったナンバー・ファイブは、彼氏と
別れたばかりの「ステファニー」
という女性に拾われる。
ステファニーと
暮らすことで、ナンバー・ファイブには、
人間のような感情が
芽生え始めるのだが...。
ストーリーは、いたってシンプル、
登場人物もいい人は、最後まで善人。
悪そうな人は、最後まで悪人という
明快さ。
『ブルーサンダー』
『張り込み』など、80年代の娯楽映画に
大きな功績を残した職人監督
ジョン・バダムが、手際よく料理し、
テンポよく物語は進み、気が
ついたらエンディングを迎えていた
という、まさに理想的な映画鑑賞を
味わうことができる。
それもこれも、
全ては、この映画の主役ナンバー・
ファイブの魅力によるところ。
最初に、その姿が、登場した時、
いかにもロボット然としたために、
「あまり可愛くないかも...?」
と、思うかもしれない。
でも、それは、作り手も計算済み。
最初に可愛くないと、思わせておいて、
映画が進むにつれて、
「カワイ~イ」♥
と、思わせるのが映画のロジック。
落雷によって回路がショート
したことで、感情が芽生えたナンバー・
ファイブは、研究所を脱出。
外の世界で、最初に観たのは、
優雅に舞う「蟻」。
そんな「アリ」にそっと触れようと
するナンバー・ファイブの姿は、
好奇心に溢れる赤ん坊みたい。
これぞ、映画のマジック!職人監督
ジョン・バダムの面白
躍如といったところ...。
ステファニーに拾われたナンバー・
ファイブは、彼女の家にある
本や、テレビから、次々と、知識を
インプットしていく、
子どもがおやつを
ねだるように、
「インプット! インプット!」
と、連呼するナンバー・ファイブが
可愛らしい。
テレビから知識をインプットする様は、
スティーヴン・スピルバーグの
『E.T.』(62年)が元ネタだけど、
本作では、インプットするだけでなく
アウトプットする様子も描かれて
いる。
テレビで、『サタデー・ナイト・フィーバー』
(77年/ジョン・バダム監督の代表作、以下、SNF)
を観ていたナンバー・ファイブが、
ダンスしたい手動にかられて、
ステファニーの手を取って踊り出す。
このシーンのナンバー・ファイブの
躍動感と生命力は『SNF』の
ジョン・トラボルタにも匹敵
するくらいまぶしい...。
後半、捕獲に着た追っ手」から
逃げる展開も『E.T.』と似ている
けど、奇蹟に頼らず知恵で切り
ぬけるのは、さすがロボット!
ナンバー・ファイブから新しい名前を
得るラストシーンを観たら、
またすぐ、リピートしたくなるくらいに
違いない...。
(アサダ)
「ショートサーキット・がんばれ
ジョニー5」(88年)。
前作のラストで
「ジョニー5」と改名したことでますます
人間らしくなったシリーズ第2作。
今回は、大都会にやってきたジョニー5が、
ロボット玩具創りに励んだり、都会人の
冷たさに、人間不信に陥ったり、宝石強盗一味と
戦ったり、恋のキューピットになったりの
大活躍、当然3作目も期待するが、
シーズンは2本のみ、残念!
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「エキス・マキナ」
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「アンドロイド ロボットが ハリウッドの主役に...」
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「ミーガン」
備考:この内容は、
2012-8-21
発行:洋泉社
「~異次元SF映画100~」
より紹介しました。