CG革命を引き起こした、画期的恐竜映画
「ジュラシック・パーク」
太古に滅びた恐竜たちが、
スクリーンの中で暴れだす。
恐竜映画は、
サイレントの時代から、延々と
作られてきたSF映画の、定番ジャンルの
1つである。
その大部分を
占めるのは、恐竜たちが、人跡未踏の地で、
生き延びていたというロスト・
ワールド・テーマの作品。
次に多いのが、恐竜時代を舞台にした
空想史劇。そして、●の影響などで
よみがえる復活派。
その他は、時間旅行、
恐竜(厳密には、エイリアン)が
棲息する惑星を訪れる
宇宙ものなど
少数派が、ひしめいている...。
そんな中、DNA操作で恐竜を
復活させるという異色の恐竜映画が
『ジュラシック・パーク』だ。
原作は、映画監督としても活躍
したSF作家マイケル・クライトン。
出版前から、映画化の争奪戦が
繰り広げられた話題作で、クライトンは、
共同で、脚本も手掛けている。
古生物学者アラン・グラント
(サム・ニール)と、古代植物学者
エリー・サトラー(ローラ・ダーン)、
数学者イアン・マルカム
(ジェフ・ゴールドブラム)は、大富豪
ジョン・ハモンド
(リチャード・アッテンボロー)に
招待された
コスタリカの孤島を訪問。
そこで彼らが
目にしたのは、絶滅したはずの
恐竜だった。
ハモンドは、琥珀に
閉じ込められた「蚊」などから、採取
した血液をもとに、クローン恐竜を
生み出し、恐竜動物園「ジュラシック・
パーク」を、作り上げたのだ...。
本作が画期的だったのは、バイオ
テクノロジーをテーマにしたこと。
多くの恐竜映画で、曖昧にされて
きた恐竜の存在理由が、明確に
されている。
生態描写にもこだわった
制作陣は、恐竜研究の第1人者
ジャック・ホーナーを古生物
コンサルタントに起用。
そのルックスや
行動に、可能な限り最新の研究を
反映させた点も評価したい。
いっぽう、恐竜たちの特撮は、
ブツ撮りにこだわるスピルバーグの
要望で、スタン・ウィンストン・
スタジオが、フルスケールで作成。
当時、在籍していたマーク・クラッシュ・
マクリーリは、
学術書をもとに、
リアルな恐竜たちをデザインした。
ロングショットや、アクション
シーンには、生物系キャラとしては
初めて、CGが本格導入されることに。
ストップモーション・アニメや
ケーブルパペット、着ぐるみには
ない、存在感ある表現を可能にし、
特撮面でも、新機軸を打ち出した。
ただし、当時は、CGアニメーターが、
少なかったため、センサーつきの
人形を使い、ストップモーション・
アニメの動きをCGに変換する
モーション・キャプチャー、DID
(Dinosaur Input Device)という
過渡的なシステムを中心に
制作されている。
そして完成した映画は、
スピルバーグらしいケレン味のある演出と、
恐竜による人間狩りという
スリリングなシチュエーション、そして
リアルな映像の相乗効果で、恐竜
映画のスタンダードになったのは
ご存知の通りだ...。
その後も、
『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』
(97年)、
『ジュラシック・パーク2』(01年)、
と、シリーズ化されたが、
単なる焼き直しではなく、スピノ
サウルスや、アンキロサウルスなど、
珍し目の種を、積極的に起用。
さらに、
ヴェロキラプトルに体毛をまとわせ
るなど、展開と折り合いを
つけながらも最新事情を導入している。
映画としてのクオリティだけではなく、
”恐竜ありき”のスタンスも
本シリーズの魅力なのだ...。
(神武)
備考:この内容は、
2012-8-21
発行:宝島社
「~異次元SF映画100~」
より紹介しました。
(筆者の感想)
うっ...!
まさに、飼い犬が手を噛まれた
ような第1印象でした...。