【ウルトラマンは、気絶している...】
残りのエネルギーは、音に変わる。
音の大きさは、1秒あたりの音のエネルギーと、
音源からの距離によって決まる。
したがって、音が発生している時間が
わからなければ、音の大きさを
求めることはできない...。
「怪彗星ツイフォン」の画面から、
投げ飛ばされたレッドキングが、地面に
接している時間、すなわち、音が発生してた時間を
0.5秒と推定しよう。
この時間内に、
400億J の5%、20億Jの
エネルギーが音に替わるのだ。この場合の音の大きさ、
すなわち1秒あたりの平均
エネルギーは、40億Jである...。
普通の会話で口から発せられるエネルギーは、
1秒あたり10万分の1.3J 。
これを、1m離れて聞くと、60デシベルになる。
デシベルという単位は、エネルギーが
1ケタ上昇すると、10ずつ加算されていく。
レッドキングの投げ飛ばしで発生する
音のエネルギーは、会話のエネルギーより
14ケタ上だから、およそ140上がって、
同じ距離で聞けば 205デシベルだ。
人間が、音として聞くことのできる
最大の音は、
130デシベルであり、これを
超えると、強烈な不快感を覚えたり、
失神したりする。
ただし、205デシベルとは、
レッドキングが投げ飛ばされた地点から、
1mの距離で聞いた場合の大きさだ。
音のエネルギーは、距離に2乗に反比例
して、小さくなるので、5.6km以上の
離れた人間は、失神することは、無いだろう。
この点は、幸いだ。
しかし、投げる本人のウルトラマンは、
どうしようもない。TV画面から推測
するには、投げ終わったウルトラマンは、
レッドキングから、30mくらい離れた地点に
立っている。この距離では、175デシベルの
音を聞かざるを得ない。
しかし、ウルトラマンの聴力は、人間の
1,000倍だという(ウルトラ怪獣図鑑より:小学館)
これが、聴覚中枢が、人間の
1,000倍敏感であることを意味するなら、
175デシベルを、やっぱり205デシベルの
音として聞くことになる。これにはとても、
絶えられまい。卒倒して、2度と、
立ち上がれないのではないか...?
したがって、ウルトラマンが、レッド
キングに、ウルトラ1本背負いを決めると、
頭を空気の壁で、張り倒されるような
大音響とともに、地面が波打ち、地表の物体は、
一斉に跳ね上がって落下する。
もうろうと立ち込めた粉塵の中から、その名の通り
背中が赤く、ただれたレッドキングが
立ち上がり、ウルトラマンを、にらみつけるが、
ウルトラマンは、波打つ地面に足を
取られて転んでいるし、人間の1,000倍の
聴覚が災いして、完全に気を失っており、
戦うどころではない。自分の仕掛けたワザで、
自分が気絶しているのである。
さらに、周囲にいたか科学特捜隊も、
音波にぶちのめされて、地面に叩きつけられて
人事不省だ。
レッドキングは、やりたい放題、
暴れたい放題。ウルトラマン、
キミはそんな技を、
使うべきではなかった...!
備考:この内容は、
2018-11-30
発行:KADAKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 1」
より紹介しました。
(編集後記)
あの~、パソコンの調子がイマイチで、
途中のCMを、お詫びします。
きゃは!
イマ2でしょ!
ちゃんと、
反省しなさい!
うっ...!
原点から、
やり直します。
きゃは!
マイナスからでしょ!