レッドキングを投げたウルトラマンは、自分自身が気絶する！...その2

【大地震が起きる...】

　ウルトラマンに、投げ飛ばされた怪獣は

数々いるが、その場合の衝撃は、どの程度か？

ここでは、レッドキングの場合を、

考えてみよう...。

身長45m、体重2万t。

この怪獣は、実際に「ウルトラマン」の

第25話「怪彗星ツイフォン」で、背負投げを

食らっている...。

　ビデオで、確認したところ、ウルトラマンは

レッドキングを、ほぼ1秒で、投げている。

しかし、片ヒジを付いて、横向きに

転がすといった不完全な投げ。もし、立った

ままきれいに投げれば、2秒は、かかる

だろう...。

　ウルトラマンの身長は、40m。彼が、

腰を、ややかがめて背負投げをかけると、

レッドキングの重心は、30m程度の高さを、

通貨し、長さ30mの「弧」を描くと考えられる。

2万t もの物体に、このような

運動をさせるのに必要なエネルギーは、

400億J である。その時間が2秒なら、

ウルトラマンのパワーは、2700万馬力

ということになる。

　驚くべし、これは全国の発電量の17%

にあたる。ウルトラ兄弟を、夜も昼も

最大パワーで、こき使えば、我が国の発電量が

100%まかなえるのである。東京

電力の「でんこ」も大喜びだ。

　レッドキングが地面に叩きつけられると、

この莫大なエネルギーは、地面の

揺れ、熱、そして、音に変化する。

　非常に、おおざっぱに、

地面の揺れに80%、熱に15%、

音に5%が分配されるとして、各項目別に

その威力を計算してみよう...。

　地面の振動には、320億J が配分される。

これは、地震の規模に換算すると、

マグニチュード3.8に相当する。

被害が、記録されるような地震は、すべて

マグニチュード5以上であり、計算上、この大きさでは、

震源の真上でも、たいした被害は

出ないことになるが、これは、実際の地震が、

浅い場合でも、地下数十メートルで

起こるためだ。

　ところが、ウルトラマンとレッドキングの

格闘が起こす地震は、直下型どころか、

地表で起こるのである。こんな地震は

当然、観測例がないが、地震波のなかで

最も大きい被害を出すのは、表面を伝わる波だ。

この場合、地震のエネルギーの

ほとんどが表面波の、起こすのに使われるため、

地面は、トランポリンのように波打ち、

人間や建物が、弾き飛ばされて、相当な

被害が出る。

　ウルトラマン自身、

足を取られて立っていられないに違いない。

これでは、投げたウルトラマンも

相当にダメージを受けるのではないだろうか...？

　熱エネルギーに配分されるのは60億J だが、

レッドキングは、体重が2万t も

あるため、そのカラダが、一般の生物同様ほとんど

水でできているとすれば、温度上昇は

たったの0.07℃。

　しかし、これは

ゆっくり加熱する時の話だ、背中の皮の

1cmの厚さの部分が、瞬間的に加熱されるとすると、

温度上昇は400℃！

生物なら、間違いなく、ヤケドする！

備考：この内容は、

2018-11-30

発行：KADOKAWA

著者：柳田理科雄

「空想科学読本 1」

より紹介しました。

途中、CMが入った点、

お詫びします。

（筆者の感想）

あの～、近所を

大型トラックが走っただけでも、

安眠妨害なのに...。　

きゃは！

お詫びしなけりゃ、いけないのは、

それだけじゃないでしょ！？

Qちゃんは、

「無人島1人暮らし」の

設定のはずでしょ！