![83-]ホンダ CBR400F:CBRシリーズの始祖にして最後のホンダ空冷 ...](https://msp.c.yimg.jp/images/v2/FUTi93tXq405grZVGgDqGy5e3TTDUrfv1rgZn3lCmSPKKlneVwrT2LZOox-AIqLA9RxveRTCQBWTnue0EbUy-GXL0CKtOzLLnF5UkH07RSIN46rsybjAUL8ZXFpHgeEMAnXefZREolZlmYpqXA-o0acZOk3bg_pji5PjErLFEWa5lp4ZGKBw0V9Sep_-6o3tcl7O45TeZag4wH7o-xonh9kVfsUegLSKbRvIxE9LgrdRkW-LcIfciEL5LjSo52wVNwDn7Lbso8AfBRB4i6iN9U7lxa8Cih2pn3STqpKXA8-vIkzIKQloGdMOaxgxZpEn/097-A.jpg)
C葉県N山市 T中さん
「乗らないですねぇ。今は、ナンバーのついた
バイクが4台。
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ほかに、もう4台、知人に預かって、
もらっているけど、会社の寮に住んでいた
ころに、友人の部屋で無理やりレストアした
思い出のあるこのCB72でさえ、もう8年は
動いてないですからねぇ」。
(解説)
レストアとは、元の状態に復元させること。
'81年にCBヨンフォアを購入して以後、
CBX400、CBR400Fと、乗り換えたT中さん。
「CB350F our」を交渉の末に入手し、焼き付いた
エンジンを苦労して載せ替えてからは、
さらに古いモデルにも、興味を持ったという。
最終的には、時代をさか登ってCB72や、CL72も入手。
エンジンをCB77の305ccのものに、積み替えたり、
Yパーツを組み込んだりもし、さんざんバイクを
楽しんでいた時代もあったそうだ。それだけ、
聞けば、普通に趣味人である。
しかし、そのころすでに、18歳を過ぎていた
T中さんが、バイクに、特にホンダCB系モデルに
惹かれていた時期も、さほど長くはなかった。
ヨンフォア時代に、出かけた千葉県・九十九里
海岸近くの、波乗り道路でのこと。

突然、背後から迫ってきた
1台のフェラーリが、180km/hで、
快調に飛ばすT中さんを、こともあろうに
ヨシムラのキットパーツまで、組んであるはずの
愛しのヨンフォアちゃんを、いとも簡単に
抜き去って行ったのだという。
「集合管のあの音を聴くと、血が沸くんです。
ガンガン走って、エンジンなんて回るとこ
まで、回してしまうほうでしたからねぇ。
それなのに、抜かれた。
悔しくて悔しくて...。
いつの間にか、絶対にアレより速いのを、
買ってやろうと
思ったんです!」
その事件以来、
「打倒フェラーリ」を当座の
目標に掲げたヨンフォア少年に取って、その後、
手に入れたホンダCB系各機種は、どれを見ても、
自分の仲間のように、思えたのだろう。
カタログやパーツリストまで、集め尽くし、CB72
に関しては欠品していたマフラーのディフューザー
まで自作したほどだったという...。
だが、いつしか、腹の奥底にしまい込んだ
憎くきフェラーリへの闘志を蘇らすのに、
黒のサングラスでキメた「渡哲也」が主役に人気
テレビドラマ「西部警察」は、純粋なバイク
青年にとって、あまりに刺激的すぎた。
「あれを見て、クルマに目覚めたんです。
ニッサンに。
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これがホントの、
おっさん、ニッサンに目覚める、
なんちって...。

それからは、CBのときと同じように
スカイラインにハマりました、
以前にバイクの
部品が手に入らなくて困った経験を活かし、
ついには、クルマのパーツまで集めるように
なってしまったんです...」
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なんとしてでも、スカイラインがほしかった、
それも、最高峰のGT-Rが...。
しかし、それは、とても
高価過ぎて、簡単に手に入るシロモノでは
なかった。
そこで、氏は、まず4ドアの
スカイラインを購入したという。
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ちょうど、そのころに、地元のツーリングクラブが
解散状態になって
しまったことも重なって、自然とバイクに乗る
機会が減っていった...。
苦労して手に入れた
4ドアの愛車を、GT-R風にモディファイするうち、
気が付けば、バイクに乗ることを
忘れていたというT中さんが、”不動なマニア”になる
までのシナリオだ。
(解説)
モディファイとは、カスタムを意味する言葉である。
自動車において、ハンドルやシートなどといった
一部のパーツに修正を加えて良くすることをいう。
それだけならまだしも、あまりにも、ドラマの
影響が強過ぎたのか、ついには、もう1台の
スカイライン(通称ジャパン)まで購入。
現在では、布団がやっと1枚だけ敷けるだけの
スペースを残して、実家の2階にある6畳の部屋も
すべてCBと、スカイラインの部品で埋まる
ほど充実(?)した生活を送っている。
その部品の山を見てT中さんは言う...。
これが、ホントの、
しぶい、おっさん、
なんちって...。
「乗りたいとは思いながらも、ついつい
乗らない。でも、頭の片隅には、常にバイクがあるし、
この中にだって、CBのパーツがたくさん埋もれ
ているんですよ。
どこに何があるかだって、
大体、把握しています...。![]()
乗らないからって売ろう
と、思ったことは一度もないんです。もちろん、
思い入れだってあるし、もしも、手放したら、
次に探すのが大変なことも、わかっていますから。
自分が気に入って手に入れたバイクだし、
いつでも、会えると思うだけでも、安心
するんですよ」
ワカリヤスイ、最近の言い方で、表現する
なら、それこそ「ビミョー」な人なのかも
しれない。
その証拠に、もう長いこと乗っていない
ヨンフォアも、オイル漏れが激しくなった。
(解説)
「ヨンフォア」とは、
ホンダCB400FOURのことです。
ついこの間までは、ずっと、継続車検を取り続けて
きたというのだから、やっぱり目が点だ。
しかし、久しぶりに、自宅脇のバイクスペース
から、引っ張り出したCBR-400Fを見るなり
REV(可変バルブ)機構について語ることや、
同車に見られる懐かしのコムスターホイール
から、かつてフレディー・スペンサーが
駆ったNS500のことを、うれしそうに思い出語り
するT中さんの様子は、確かに好き者以外の
何者でもない。
例え、バイクの乗り方を忘れて
しまっている(?)のだとしても、氏が
バイクに寄せる思いは、
今も、昔も変わっていないのだ...。

2年前には、ついに、念願のスカイラインGT-R
(R34)も手に入れたことだし、今度は、
気が済むまで、日本中のフェラーリをブチ抜いて、
いずれは、”舘ひろしチック”にでもいいから、
また、再びバイクに載って欲しい...。
「実は、数年前にCBX1000も手に入れ、それも
知人に預けてあるんですよ。今度こそ
乗ります。来月からは、教習所に通いますよ」![]()

最後に、そう言い残したT中さんだったが、
どうやらまだ、”石原軍団”からは、足を洗え
そうにない。なぜなら、別れ際に鳴った携帯電話の
着メロまで「西部警察」だった...。
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備考:この内容は、
平成13-2-15
発行:八重洲出版
「MOTOR CICLIST」
より紹介しました。
(筆者の感想)
あの~、かなり、
ハラハラ軍団な
方ですね。
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