【CG革命を引き起こした 画期的恐竜映画...】
「ジュラシック・パーク」（1993）
監督：ステーヴン・スピルバーグ
出演：リチャード・アッテンボロー、
サム・ニール、ローラ・ダーン、
ジェフ・ゴールドブラム、
アリアナ・リチャーズなど
太古に滅びた恐竜たちが、
スクリーンの中で暴れ出す。恐竜映画は、
サイレントの時代から、延々と
作られ続けてきたSF映画の定番ジャンル
の1つである。
その大部分を、
占めるのは、恐竜たちが、人跡未踏の
地で、生き延びていたというロスト・
ワールド・テーマの作品。
次に多いのが、恐竜時代を舞台にした
空想史劇、そして、●の影響などで、
蘇る復活派。
その他は、時間旅行、
恐竜（厳密にはエイリアン）が
生息する惑星を訪れる宇宙ものなど、
少数派が、ひしめいている。
そんな中、DNA捜査で恐竜を
復活させるという異色の恐竜映画が。、
「ジュラシック・パーク」だ。
原作は、映画監督とても活躍
したSF作家マイケル・クライトン。
出版前から、映画化の争奪戦が
繰り広げられた話題作で、クライトンは、
共同で、脚本も手掛けている。
古代生物学者アラン・ゴラント
（サム・ニール）と、古代植物学者
エリー・サトラー（ローラ・ダーン）、
数学者イアン・マルカム
（ジェフ・ゴールドブラム）は、大富豪
ジョン・ハモンド（リチャード・
アッテンボロー）に招待された
コスタリカ沖の孤島を訪問。
そこで彼らが
目にしたものは、絶滅したはずの
恐竜だった...。
ハモンドは、絶滅に
閉じ込められた「蚊」の血液をもとに、クローン恐竜を
生み出し、恐竜動物園「ジュラシック・パーク」
を、作り上げたのだ。
本作が、画期的なのは、バイオ
テクノロジーをテーマにしたところ。
多くの恐竜映画で曖昧にされて
きた恐竜の存在理由が、明確に
されている。
生態描写にもこだわった
制作陣は、恐竜研究の第1人者、
ジャック・ホーナーを古生物学
コンサルタントに起用。
そのルックスや行動に、
可能な限り最新の研究を
繁栄させた点も評価したい。
一方、恐竜たちの特撮は、
ブツ撮りにこだわるスピルバーグの
要望で、スタン・ウィンストン・
スタジオが、フルスケールで作成・
当時、在籍していたマーク・クラッシュ・
マクリークは、学術書をもとに
リアルな恐竜たちをデザインした。
ロングショットやアクション
シーンには、生物系キャラとしては、
はじめてCGが、本格導入されていることに。
ストップ・モーション・アニメや
ケーブルパペット、着ぐるみには
ない存在感ある表現を可能にし、
特撮画でも、新機軸を打ち出した。
ただし当時は、CGアニメーターが
少なかったため、センサーつきの
人形を使い、ストップモーション・
アニメの動きをCGに変換する
モーションキャプチャー、DID
（Dinosaur input Device）という
過渡的なシステムを中心に制作された。
そして、完成した映画は、スピル
バーグらしいケレン味のある演出と、
恐竜による人間狩りという
スリリングなシチュエーション、そして、
リアルな映像の相乗効果で、恐竜
映画のスタンダードになったのは、
ご存知の通り...。
その後も、
「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」
（97年）、
「ジュラシック・パーク 2」（01年）
と、シリーズ化されたが、
単なる焼き直しはなく
「スピノサウルス」や
「アンキロサウルス」など
珍しめの種を積極的に起用。
さらに「ヴェロキラプトル」に体毛をまとわせ
るなど、展開と折り合いを
つけながらも、最新情報を導入している、
映画としての、クオリティだけでなく、
”恐竜ありき”のスタンスも
本シリーズの魅力なのだ...。
備考：この内容は、
2012-8-21
発行：洋泉社
「異次元SF映画100」
より紹介したかも。