筒井康隆著「日本以外全部沈没」...その2 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

トム・ジョーンズ白黒 に対する画像結果

 

 

 

 チークのドアを押してトム・ジョーンズが

 

入ってきた。黒い制服のドア・ボーイが邪険に胸を

 

押してとどめた。

 

 

 

「もう満員です」 ふたご座ふたご座ふたご座ふたご座

 

 

 

「ひとりぐらい、なんとかなるだろ!?」

 

 

 

「ダメです。立って飲んでいる人もいる

 

ぐらいですから...」

 

 

 

ボーイが指さした壁ぎわでは、窮屈そうに

 

方をすくめたローレンス・オリヴィエとピエール・

 

カルダンが立ったままでブランデー・グラスを  トロピカルカクテル  お母さん お父さんハッ

 

持っていた。

 

 

 

「入れてくれたら、歌ってやるぜ」と、

 

トム・ジョーンズが言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビートルズ白黒 に対する画像結果

 

 

「いえ、けっこうです。シナトラ 一家がいますし、

 

ビートルズの4人も、揃っていますから...」 お父さんお父さんお父さんグラサン 音譜

 

 

トム・ジョーンズは、肩をすくめて、

 

出ていった...。ランニング 筋肉

 

 

 

「いろんなやつが来るな」と、

 

古賀は言った。

 

 

 

「来ないやつがいないみたいだ。もうじき

 

ゴドーまで、やってくるぞ」

 

 

 

「ゴドーじゃなくて、後藤が来たぜ」

 

おれは、ドアの方へ顎をしゃくった。

 

 

 

科学部記者の後藤が、服をギラギラ光らせ、

 

人混みをか分けて、オレたちの方へやっていた。

 

 

 

 

 この「クラブ・ミルト」は、もともと、

 

我々、新聞記者のたまり場だったから、どんなに店が

 

混んでいるときでも、門前払いを食わされるような

 

ことはない。節分 ランニング

 

 

 

 もともと日本に難を逃れてきた

 

外国人たちが、この店に集まるようになってきたのも、

 

彼らが、言葉の不自由さから、情報不足に落ち入り、この

 

「クラブ・ミルト」へ来れば、我々から新しい

 

ニュースを得て、飢えを満たすことができる

 

のである。現在のこの店の空前の盛況は、

 

いわば、我々、新聞記者のお陰なのだ。

 

 

 

 

 「おい。今、そこのボニー・ビルの裏通りの

 

暗いところに、エリザベス・テイラーが立って

 

いたぞ」 目を細めて後藤が言った。ウエディングドレス 

 

 

 

 

 おれは、後藤のために古賀との、あいだへ空間を作って

 

やりながら言った。

 

 

 

「ついに彼女も、街頭に

 

立ち始めたか? もうパトロンはいないし、ドルは

 

値打ちがないからな」

 

 

 

「悪い日本人にだまされ、全財産巻き上げられた

 

んだろう? 外国人と見ると、弱みにつけこんで、

 

寄ってたかって裸にしてしまう。まったく日本人ってのは、

 

血も涙もない人間だな...」

 

 

 

「オレ、行こうかな?」 古賀が、腰を浮かした。

 

 

 

「ひとばん、いくらだと言ってた?」

 

 

 

「よせよせ。あんなデブ」

 

 

 

「オレ、デブが好きなんだよ」

 

 

 

「もっといいのが、いくらでも来てるよ。

 

昨夜は、面白かったぞ。学芸の山ちゃんと一緒に、○交

 

 

パーティに行ってきたんだ。 生ビール 日本酒 赤ワイン 白ワイン トロピカルカクテル クラッカー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オードリー・ヘップバーン」

 

 

 

 

 オードリー・ヘップバーンや

 

クラウディア・カルディナーレや、

 

ソフィア・ローレンが来ていた。ペペもいたぞ。

 

おれは、カトリーヌ・ドヌーヴとロミー・シュナイダーと、

 

それからええと、あとは、誰を○いたっけ?」 走る人 走る人 走る人 美容院

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラウディア・カルディナーレ」

 

 

 

 ガタン、と音を立てて、古賀が立ち上がった。

 

 

 

「どうして、オレを呼んでくれなかった?」

 

 

 

おろおろ声になっていた。おとめ座 バレエ ウエディングドレス 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロミー・シュナイダー」

 

 

 

 

 

「おれ、ロミーのファンなんだよ」

 

 

 

「いつだって会えるさ。そんなことは

 

どうでもいい」

 

おれは、後藤に訊ねた。

 

 

 

「どうだったんだ? 田所博士の記者会見があったんだろ?」

 

 

 

「ああ、さっき終わったところだ」

 

おしぼりで、顔を拭きながら、後藤はうなずいた。

 

 

 

「こいつ、ロミーを、抱きやがって」

 

古賀が、すすり泣き始めた。 笑い泣き あせる

 

 

 

古賀にかまわず、後藤は、喋り始めた。

 

 

 

「田所さんは、ぐでんぐでんに酔っ払っていて、

 

何を言っているのか、よくわからなかったがね。

 

それでも、だいたいのところは理解できたよ」 日本波

 

 

 

 ”タドコロ”という名前に、近くの外国人たちが、

 

聞き耳を立てはじめた。後藤のしゃべることを外国人たちに、

 

小声で通訳をやっている日本人もいる。

 

 

                               

                           右矢印 メラメラ ガーン

 「ずっと、以前から、全地球的に大気中の炭酸ガスの アップ     ダウン

                                ダウン

量が増え始めていたことは、知っているだろう。          

                           波病院学校郵便局ATM波

あれで、北極と南極の氷が溶け始め、徐々に、

 

海面が膨れあがってきて、世界中の地表を

 

侵しはじめた。と、同時に、以前から沸騰しはじめていた

 

太平洋の下のマントルが、さらに沸騰した。地球 メラメラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デイアフタートゥモロー 映画 に対する画像結果

 

 

 

 日本列島の地底のマントル対流は、太平洋から、

 

アジア大陸の下へ、潜り込んでいる。これを

 

大洋底マントルというのだが、これが沸騰したままで、

 

日本列島の下に潜り込んできて、アジア大陸の地底から、

 

日本列島の下まで、伸びてきている大陸底マントルと衝突した。自転車 ドンッ 車

 

 

 

そこで、田所博士が、乗り移ったような口調になり、

 

後藤がツバを飛ばし始めた。

 

 

 

 

「沸騰したマントルの一部は、

 

日本の地底にある大洋底マントルと

 

大陸底マントルの交差点で、押し上げられるような形になって

 

地表へ噴出した。

 

 

 

 

3年前、富士山、浅間山、天城山、大室山、箱根山、桜島、三宅島、

 

その他休火山と活火山と、問わず日本中の

                   メラメラ  ドンッ  爆弾

火山が順に噴火したのは、このためだ。 富士山 富士山 富士山

 

 

 

 

 ところが、それだけじゃ収まらなかった。

 

マントルは、海面が膨れ上がる速度と比例して、

 

 

 

徐々に日本列島全体を押し上げる

 

と同時に、日本海底の海盆を破壊し、

 

日本列島の地底および、周辺のモホロビチッチ

 

不連続面をばらばらにし、以前から年間4cmの速度で、

 

日本列島へ向けて移動していた

 

速度を急激にスピード・アップした」

 

後藤は、今や大声で、わめき散らしていた。

 

 

 

店内の客は、いっせいに、後藤を見つめ、呆然としている...。泣き笑い 大泣き ガーン 笑い泣き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

gif南極の氷が溶ける に対する画像結果

 

 

 

「日本は、そのマントルの大波に逆らえず、

 

アジア大陸の方へ押しやられ、ついに、すでに

 

沈下していた中国の、大陸地塊の上へざざざざ、ざばあっと」 セキセイインコ青セキセイインコ黄オカメインコ波

 

 

 

後藤は、グラスを散乱させて

 

カウンターに、飛び乗った。

 

 

 

「こういう具合に、乗り上げてしまったのだ!」

 

 

 

 「なんとまあ」

 

オレはぶったまげて、叫んだ。

 

 

 

「それじゃ、日本は、地理的には、もとの場所に

 

いるのじゃないのか?」

 

 

 

「ややこしい言い方をするな。地理的にと言ったって、

 

今じゃ、どんな世界地図を書いたところで、

 

海の真ん中に、日本列島が、あるだけなんだぜ」と、

 

古賀が言った。波波日本波波

 

 

 

「そりゃまあ、厳密に言えば

 

チベットなどの高原もあるが...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

備考:この内容は、

昭和56-2-10

発行:角川書店

著者:筒井康隆

「農協月へ行く」

より紹介しました。月見 ランニング