お父さんは、家に帰ってきたら、絶対に
バレーの話はしなかった。家では、お父さん、
体育館ではコーチ、というスイッチの切り替えを
していたんだと思う...。
だから、試合の集合時間なんかも、
体育館で聞きそびれたりしたら、
家に帰ってから、お父さんに聞いても、
絶対に教えてくれない。
仕方なく、
かおりちゃんや、いくちゃんに、電話をかけて、
こっそり教えてもらったりした...。
でも、実は、家の中で1つだけ、
秘密の特訓があった。
それは、「1000円ジャンプ」。
家の天井から、千円札と、5千円札と、
1万円札が、違う長さの糸で、ぶら下がっている。
ジャンプして届いたら、その、お札をくれる
というルール。
もう、お兄ちゃんも、私も必●...。
でも、1万円札と、5千円札は、絶対に
届かない高さに、ぶら下がっていたけど、
一度だけ、
1000円札を、ゲットしたことがある...。
もっとも、お金で釣るという意味では、
体育館でも、同じような練習があった。
バケットのリングを狙って、サーブを打って、
入ったら、100円が、もらえる。もう、
みんなで燃えた。一生懸命練習すると、
やっぱり、だんだん狙いどころが良くなって、
リングに当たったりして、入りそうになったら、
いきなり、
「あっ、やっぱり、入ったら、10円だ!」
って...。
大人ってずるい!
でも、こういう練習
だから、もう、みんな本当に一生懸命
やるし、おもしろがって、やるから、すぐに
上達する...。
嫌々やる練習なんか、意味が
ない。
自分から、面白がって、進んで
やる練習なら、
絶対に上手になる...。
備考:この内容は、
2009-9-3
発行:実業之日本社
著者:高橋みゆき
「シン!」
より紹介しました。