【サム・ワーシントン(ジェイク・サリー)インタビュー】
(以下 SW)
・・・2009年は、あなたにとって、大ブレイクの年になりました。
ハリウッドに進出するのは、夢だったのですか?
SW> 自分の国で、行けるところまで行って
見たいと思っていた。
そんな時、ジェームズ・キャメロンみたいな人が、
「こっちに来てみなよ!」と、言ってくれたんだ。
もちろん、何の抵抗もなかったよ。僕は、
過去10年間、たっぷり働いて修行してきた。
別に、ハリウッドに行く野望を持っていた訳
ではないが、映画において、ハリウッドは、
メッカで、ジェームズ・キャメロンは、そこの、
トップ中のトップ。彼と、仕事が出来るとあっては、
飛びつくに決まっている...。
・・・どんなオーディションを経て、この役を
獲得したのですか?
SW> オーストラリアで、オーディションに呼ばれたんだ。その時は、それが
何の映画だったのかも、教えてもらえなかった。わかっていたのは、兵士の役
だと言うことだけ。受けた後、どうせまた時間の無駄だったんだろうと
思って、クルマの中でため息を付いたのを覚えているよ。
そうしたら1週間ほどして、「ジェームズ・キャメロン
が、君に会いたがっている」と、言われてね。
びっくりしたよ。理由を聞いたら、あのオーディションは、彼の映画のため
だったという。それで、僕は、飛行機に乗って、彼に会いに行ったんだ。
ジム(・キャメロン)に会った時、僕は、「僕の出た映画を、何かご覧頂いたことが
有るのですか?」と聞いてみたが、「何も見ていない」と彼は言った。
彼は、ただ、オーディションテープしか、見ていなかったらしい...。
・・・「アバター」の脚本を読んだのは、いつでしたか?
SW> ジムに会った時だよ。読んだ時、僕は「こんな映画、いったいどうやっら
作れるんだ?」と思った。パフォーマンス・キャプチャーなんていう
ものを、僕は、その当時知らなかったし、浮かんでくる山なんていうものも、
出ている。でも、ジムは、それらについて詳しく説明してくれた。
ジムは、あの星のことは、全部知り尽くしているんだ。生存するクリーチャー、そこに
ある植物はもちろん、空気の質も、ディテールまで、全部考えている。
だから観客にとって、エキサイティングなんだ。そんな世界を肌で感じる
事ができる。『タイタニック』を、観た人はみんな、自分もタイタニック号に
乗っているような気になっただろう? 今回も同じで、みんなきっと、
自分が、その星にいると信じるはずだよ。
・・・この役では、アクションも、ずいぶん要求されたはずですね?
SW> たくさんあったよ。ジェイクが人間のときは、車椅子に乗っているので、
それが1つのチャレンジになる。アバターになってからは、飛び跳ね
たり、走ったりがある。
・・・そのために、どんな準備をしましたか?
SW> 第1には、ジムとたっぷり時間をかけて話し合った。彼こそキャラクター
を生み出したブレインなんだからね。撮影前、僕らはハワイに行き、
森林の中で演技のリハーサルをした。映画の舞台にも森林が出てくる
からだ。そうやって事前に気分を味わっても、いざパフォーマンス・
キャプチャーで演じる段階になると、あまり役には立たない。何もない
ところで演技をするときは、庭で遊んでいる5歳の子の気持ちにならないと。
だから僕は甥の様子を観察していたよ。甥は、オモチャのロボットをもらったら、
それが、本当のロボットだと信じて遊ぶ。あれは、ダニエル・
デイ・ルイスいだって、出来ないんじゃないかと思うよ。
・・・今、期待の新星と呼ばれて居ることを、どう感じていますか?
SW> 世間は、いつだって何かを見つけて”期待の新星”とか言うものだ。
でも僕はもう新しくも無いんだよ。33歳だから、中古(笑)。周りが言うこと
は、コントロール出来ないんだし、ボクに出来るのは、地に足をつけて真面目
に頑張ることだ。自分を囲む様子が少し変わっても、自分は変わらない。
ボクには長期のゴールなんて言うものもない。今、やっていることの半分
をやらせてもらえるだけでも、夢のようだよ。それでお金をもらえている
なんて、犯罪だね。この仕事を続けていけるなら、それで僕は十分ハッピーだ。
・・・なぜ、オーストラリアから、数々の演技派俳優が、
生まれて居るのだと思いますか?
SW > 1つには、どの国に行くにも15時間、かかるということがある
だろう。その時間をムダにしたくないから、しっかり準備が、出来上がってから
挑むんだ。それ国内では、生活費を払わないといけないから、どんな
仕事でもやる。舞台も、テレビも、映画も、CMも。ケイト・ブランシェット
だって、ありとあらゆる仕事をこなして来たんだよ。それにあの国では業界が
小さいから、いわば裏庭で仕事をしているようなもの。きちんと用意も
しないで現場に行くような事はできない。そんな厳しい職業上の道徳心が
根付いて居ることも有るんじゃないかな...。
(取材・構成:猿渡由紀)
備考:この内容は、
2009-12-23
「アバター」
劇場公開パンフレット
より紹介しました。