「KAWASAKI W650」
【乗車姿勢】 文:沼尻 新
W650に試乗した。デビューして
2年、今ごろ試乗というのもナンだが、
気になってはいても、乗ったことがないという
人も多いハズ。私も、その1人であった。
同車が、発表されて以来、
各バイク雑誌の記事などを
読んでいると、評判は悪くないみたいで、
これは、ひょっとして食わず嫌いしているかな?
と思った。
”馬には乗ってみよ” である、(イラスト
レイターの摺本さんも連載の「バイク絵巻」
のなかで、絶賛していたな~)。
「ノートン コマンド 750」
初日は、私の愛車、ノートンコマンドと
乗り比べて、2台並べて考察? 次の日には、熱海まで
往復、数日おいて前からW650に興味のある友人宅へ、
W650をご披露に。
そして、後日、少し遠くへ行こうと千葉房総・
九十九里を経て潮来へ行き、そこで一泊して、
同じルートを帰るという、2日間ツーリング。
編集部に返却するまで
約1200km弱を、W650と共に走った。
で、どうだったか?というと、月並みだが、
「一言では言えない」が、偽らざるところ...。
乗ってすぐの印象は、やはり現代的で
乗りやすいということか...。今まで多くのことが、
書かれているバイクだけに、初めから、昔のトラや、
W1の再来などとは、思っていないから、がっかり
することもないが、コレと言った感慨も、
すぐには湧いて来なかった...。
気になったのは、乗車姿勢で、ニーグリップと
シート、ステップの3点の関係が、うまく
いかないこと。ニーグリップラバーは、まるで
それ自体1個のオブジェのように、思い入れ
たっぷりの造形で、それでいて、目立ちたがり屋で、
みんなに嫌われる人みたいな存在になって
しまっていた。(新型は、反映したような薄型に
なっているようだ)。
「Kawasaki 650ーW1 スペシャル」
具体的に言うと私の場合、
ニーグリップラバーのへこみに、ぴったりと
ヒザを挟み込むようにすると、尻は引き気味に
なる。これだと、今度はステップが、前すぎて
しまうし、タンクと股ぐらの間に、しっくり
来ないで空間ができる。
それに前下がりシートで、この姿勢を維持
するのもつらい。自然にまた、ニーグリップラバー
無視の乗車姿勢に落ち着くのだ。結局、一番の
問題は、ニーグリップラバー、次に、シート、
先日のマイナーチェンジで、2つとも改善され
というから、喜ばしい限りである。
ついでに私が、改善して欲しい点を全部、
言ってしまうと、メーター(文字盤のデザインは
美しく気に入っている)内にあるオドメーター。
普通は、時計にしておくことが多いだろう
が、走行中にトリップを見たいときもある。
変換ボタンは、メーターの間なので、ハンドル
から手を離さなきゃならない。やはり、オドと
トリップをコンビとして、時計は別にあるのが、
正しいと思う。
まるで、行き場がなくなって、
そこにつけたという感じのヘルメットホルダー
の位置もうまくない。それに関連して
シート開梱方式も、きちんとヒンジ式にすべき
である。このあたりの作られ方は、何かあまり
考えられていないように感じる。
「Kawasaki Versys 650」
今のバイクは、メンテナンスフリーで手間
要らずの反面、フレームの中にある空間の
使い方がヘタ。中に入る物も、昔より多くて複雑
ということもあるのだろうが、勢い何でもかん
でも押し込んだという感じになる。
バッテリーの取り出し
やすさとか、工具の入れ方にしても
工夫が欲しいところ。専用のU字ロックが
収納できるのはマルだが、タンデムステップを
もう少し、大きく実用的にしてほしいのと、
ホーンの音質が、安っぽかったことが気になる
くらいだ...。
備考:この内容は、
平成13-5-15
発行:八重洲出版
「motor cyclist」
より紹介しました。