私は、その失恋の痛みを、部活動に
力を注ぐことで、昇華させることにした...。
いや、そもそも私は、好きな女の子に
つられて部活動を選ぶなどという
低レベルな思考を持ち合わせていない。
以前から、科学に並々ならない興味が
あっただけの話で、高尚な世界に触れる
ために、この部を選んだのだ。
部活動では、これといった友人は
出来なかった。しかし、
クラスでは、私と対等な
会話を交わすことが、できる
友人が4人ほどいた...。
勉強していないように見せかけて、
実は、影に隠れて、こっそり猛勉強を
していた「白井猛」。
結局、高校3年間、彼は、
学年1位の座を、守り抜いたのだが、
それは、私が、努力家だった彼に敬意を払い、
”譲ってやっていた” からに、
ほかならない。
本来なら、世界一の頭脳を誇る
私が、そんな簡単に敗けるはずがない
のだから...。
「本郷三四郎」は、めっぽう、
数学に強く、したたかな男だった。
今では、財務省で、エリート官僚として働いて
いるはずだ。
もう1人、現在
国土交通省で、エリート官僚をやっているのが、
「駒場一路」。彼は、高校生ながら、
異様に法律に詳しかったことを覚えている。
そして、警視総監を父に持つ
「安田安夫」は、現在警察庁に勤めている。
だが、彼は、親のコネなど一切、使っていない。
国家1種の試験を受けて、表門から
正々堂々と警察庁に入庁したのだ。
このように、私と付き合う資格が
あるのは、”超”が、いくつも付くような
選りすぐりのエリートだけだ。私の
人生の中で、友人と呼べるような人間は、
彼ら4人しかいない。
□さがない連中は、
「鼻持ちならないヤツらが
集まっただけ」などと、言っていたようだが、
しょせん、それも、エリートに成りきれ
なかった者の、負け惜しみに過ぎない...。
また、余談になるが、私が毎回
欠かさず、チェックしているテレビ番組
「哲!この部屋」は、この当時、始まった
番組だ。
記念すべき、第1回のゲストは、
「薬師丸ひろ子」さんだった。
私は、彼女を、ひと目見た瞬間に、心を奪われ、
手にしていた「そばつゆ」を、すべてヒザに、
ぶちまけてしまったほどだ。
そして、その年の 7月11日には、映画
『ねらわれた学園』の、舞台挨拶を見るため
前日から映画館に向かい、徹夜で行列に
並んだことを、はっきりと記憶している...。
備考:この内容は、
2002-11-30
発行:学習研究社
著者:上田次郎
「どんと来い、超常現象」
より紹介しました。