稲川淳二の怖い話「留守宅」...その1 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

 

 

 沼津の人で、造園業を営んでいる、仮に「政次さん」としておきましょうか。

 

 

 

 独身で、歳は50ぐらいになるんですが、大柄でがっちりとした、見かけは

 

ごついんですが、至って穏やかで、真面目で、他人から何か頼まれると、

 

断れない性格ですから、周りからも好かれているんですね。

 

 

 この政次さんが、親しくしている地元の寺の住職さんと、私に聞かせて

 

くれた話なんです。

 

 

 

 それは、この人が日頃、世話になっている高齢の実業家が、

 

体調を崩して、

 

知り合いの経営する東京の病院の特別室に、しばらく入院することに

 

なったんですね。

 

 

 

で、

 

 

 

「退院したら、伊豆湯河原にある別宅に帰るから、庭の手入れをしておいて

 

欲しい。それに留守にしているんで、家の管理も頼む」

 

 

と、鍵を預かった。

 

 

 

 

 

 

 

伊豆の豪邸 に対する画像結果

 

 

 

 その別宅というのは、伊豆の山並みを背景にした高台の広い敷地に、

 

日本庭園のある大きな屋敷で、政次さん、もう何度も伺っているんですが、

 

実のところ、この実業家の老人が、どういった人物なのか?

 

あまりよく知らない。

 

 

 

そうやらこの人には、裏の顔があるようなんですね。

 

 

 

 銅でふいた立派な止めのある大きな門には、表札もないし、

 

広い敷地のいたるところに防犯カメラが設置してある。

 

 

 

まあ、これだけの屋敷ですから、用心の上にも、

 

用心ということなんでしょうか....?

 

 

 

 で、政次さん、2t トラックに道具や機材を積み込んでやってくると、

 

毎度のことで、勝手は知っていますから、さっそく作業に取り掛かったんですね。

 

 

 

天気はいいし、爽やかな風が、時折、吹き抜けて、

 

野鳥のさえずりを聞きながら、気持ちのいい汗を流していた...。

 

 

 

 

 

 

 

コナン怪しい犯人 に対する画像結果

 

 

 

 そのうち、何だかさっきから、誰かに見られているような気がして、

 

手を休めて、当たりを見回してみた。

 

 

 

 人の姿は無いし、

 

 

「おかしいなぁ、防犯カメラがあっちこっちから向いているから、

 

そんな気がするんだろうか? いや、ここに来るのは、

 

今日が、初めてじゃないし...

 

今まで、こんなこと、感じたことないしなぁ...」

 

 

 

で、また、仕事を続けていると、

 

 

 

「あれ? 今、声がしたようだったなぁ...?」

 

 

 

それも、近くで聞こえたような気がした。

 

 

 

「家の中からだろうか? いや、窓も雨戸もピタッと閉まっていて、

 

鍵がかかっているし、人がいいるとは思えない。

 

よその家から聞こえたのかな...?」

 

 

 

 でも、この屋敷の周りには、他に家は無いし、

 

そんな遠くから聞こえてきたようでもなかった。

 

(何かの音が、風に乗って運ばてきたんだろうか?

 

それとも空耳かな?)

 

と、作業をしていると、

 

 

 

(ん...?)

 

また、何か聞こえた。

 

 

 

それが、声なのか、音なのか、はっきりしないんですが、

 

家の中から聞こえたようだったんで、試しに家に向かって

 

 

 

 

 

 

 

造園業びっくり に対する画像結果

 

 

 

「ごめんくださ~い!」

 

と、声をかけてみたんですがね。何の反応もない。

 

 

 

(いる訳ないよなぁ...)

 

 

 

と、思ったんですが念の為、屋敷の電話番号は、知っていますからね。

 

自分の携帯で、かけてみた。

 

 

 

(鳴っている。呼び出している。いれば出るよなぁ。。。)

 

 

 

が、誰も出ない。

 

 

 

(いいか...)

 

 

 

と、思ったんですが、根が真面目な人ですから、まあ、屋敷の管理を

 

頼まれて、鍵を預かってる事ですし。

 

 

 

で、玄関に回って、

 

 

 

「ごめんくださ~い! すいませ~ん!」

 

 

 

ひと声かけると、預かった鍵を、立派な細工の大きな引き戸に差し込んで、

 

 

 

ガラガラ ガラガラ

 

 

 

おもむろに開けると、そこは敷石の広い玄関のように、なっていて、

 

その先のガラスの、はまった格子戸を、

 

 

 

カラカラカラカラ

 

 

 

と開けると、こっちが本当の玄関なんですね。

 

 

 

正面に厚い板敷きの上がり「かまち」があって、

 

そこから闇の奥へと、廊下が伸びて

 

いるんですが、何しろ家中、締め切ってあって、外光が入らないんで、

 

壁のスイッチを入れると、

 

 

 

「あれ!? つかない)

 

 

 

まあ、この真っ暗闇の中に、人がいるとは思えないんですが、

 

もしかしたら、泥棒か、空き巣狙いが、息を○して潜んでいるかも知れない。

 

 

 

 

で、明かりがなくては、動けませんから、トラックへ行って、

 

懐中電灯を探したんですが、見つからない。

 

 

 

 

 

 

 

暗闇のペンシルライト に対する画像結果

 

 

 

あったのは、小さなペンシルライト。

 

 

 

あまり役には、立ちそうもないんですが、

 

この際、無いよりはましなんで、

 

それを持って行って玄関で、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すいませ~ん、失礼しま~す!」

 

と、奥に向かって、ひと声かけてから、靴を脱いで、家に上がると、

 

ペンシルライトをつけた...。

 

 

 

暗闇のペンシルライト に対する画像結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

備考:この内容は、

2022-7-21

発行:リイド社

著者:稲川淳二

「稲川淳二のすご~く怖い話」

より紹介しました。