アニソンや
ヒーローソングを
歌ったことで、個性を見出す
ことができたという。
水木> レコードデビューする以前は、
ステージでジャズやロックを
歌っていたんです。いわば、
これが僕の原点。
でも、歌謡曲で
デビューすると、僕のような
ストレートな声は「個性がない」と
言われるし、どう歌ったらいいのか、
相当悩みました。
ところが、その無個性が
アニメソングには、
かえって良かった。自分自身の
個性が邪魔すること無く、まず
そこにヒーローがいて、その気持ちを
代弁して歌った声が、
このジャンルとピッタリ合ったん
です。
ヒーローになりきることで、
複雑な感情を表現することも
できた。例えば、ヒーローは
ただ強くてカッコいいだけじゃ
なくて、苦悩や葛藤を抱えて
るもの。哀愁を込めて歌うから
こそ、テレビを観ている子どもたちの
心に届いたんだと思います。
【ベストな状態で還暦を迎えよう】
50代の今を、様々な仕事や
環境の中で、生きている昭和40年
男世代とアニキでは、もちろん
立場が違うので、当てはまらない
要素も多いとは思うが、精神的
なこと、心の在り方では共通
することもあるのだろう。水木一郎が
我々と同様の50代の頃、
還暦前に感じていたこと、還暦を
どのような考え方で迎えたかを
語って頂いた。
水木> 還暦を迎える前は、(ため息
混じりで)ああ、60か・・・と、
ブルーになるんですよね。
年齢が公表されるのも抵抗があった。
でも、迎えてみると、最高の60歳、
60代でしたね。51歳の ”24時間
1000曲ライブ” は、50を
過ぎた男が、どこまで出来るか?
それを他人が、自分もがんばれると
思えたり、あるいは若い人が
こういうオヤジになりたいと
思ってくれたらいいという気持ちで
挑戦しました。
還暦を迎えた
時にどれくらいパワーが残って
いるのかと思ったら、意外と
変わらない(笑)。
60歳で定年と
なって第2の人生を迎える人も
多いと思うけど、僕はそれまでの
人生で咲いた花を背負って、現役の
まま行けるところまで行こうと
思いました。
そして、今、70代に
突入しましたけど、いろんな
オファーをいただけて20代、
30代の時よりも忙しいくらいです。
トニー・ベネットのように90代に
なっても戦い続けたいですね。
力強く語る水木一郎の心情は、
いたってシンプル。でも、実際は
難しいことかもしれない。
水木> 自分に負けないことですね。
ライバルはいませんけど、
お客さんに喜んでもらえる歌を
歌えるように声を整えて、己に勝つと
言うことです。
最後に、50代の昭和40年男世代に
メッセージとエールを送って
頂いた。
水木> 今が、一番、脂が乗っている
時期。自分に自信を持って、
これまでの生き様を誇りにして、
やがてくる還暦をベストな状態で
迎えてもらいたいですね。
50代は、自分を1回見つめ直すのに
とてもいい時期だと思うんです。
40代の時よりも元気があるかも
しれない。出来るなら、オレも
もう1度、50代に戻りたいくらい
です。ただ、きっとまた同じ
生き方を選ぶだろうけどね・・・。
備考:この内容は、
2021-12-16
発行:(株)クレタパブリッシング
「昭和40年男 総集編
生涯現役・還暦上等」
より紹介しました。
故人のご冥福を、
心よりお祈りいたします...。