第③位 「カールじいさんの空飛ぶ家・浦安鉄筋家族」
【定番!? 風船で空を飛ぶ人たち】
2009年に公開された「カールじいさんの空飛ぶ家」は、感動的なお話だった。
○き妻との思い出が詰まった家から、立ち退きを迫られたカールじいさんは、
家から立ち退く代わりに、一晩のうちに家にたくさんの風船を付け、妻と語り合った
伝説の滝へと、「家ごと」旅立つのだ。
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ご存知の通り、ヘリウムの入った風船は空に登っていく。
その風船をたくさんつければ、家を空に浮かべることも、
できるのだろう...。
では、風船が何個ぐらいあれば、家を飛ばせるのか? カールじいさんの風船はかなり大きく、
楕円の縦が80cm、横が60cmぐらいあった。この大きさの風船なら、1つで117gの物を、
浮かべられる。一方、カールじいさんの家は小さな木造2階建てで、知り合いの大工さんに
聞くと、このクラスの家の重量は 12t ほどになるらしい。ここから計算すると、
用意した風船は、10万2000個!
これだけの風船を、一晩で膨らませたカールじいさんの、熱量と体力がすごい!
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同じ「風船」でも、フーセンガムで飛んだ猛者(もさ)がいる。
「浦安鉄筋家族」のフグオだ。
福引きで、フーセンガム3年分を当てたフグオの家では、朝食・おやつ・夕食がすべて
ガムになってしまった。フグオは、46時間中、ガムを噛み続け、空き地で野球をやって
いるときも、ガムを噛みながら居眠りしてしまう。と! 鼻ちょうちんみたいに膨らんだガムは、
ぐんぐん巨大化し、やがてフグオを、ぶら下げたまま、空高く浮き上がっていった・・・。
そ、そんなことがあり得るの?
ところが、科学的に検証してみると、なんと「あり得るよ!」という結論に至る。
ヒトの呼気には、空気より重い「CO2」が含まれるが、空気より軽い水蒸気なども、
混じっているため、総対的には空気に比べて、ほんの少しだけ軽いのだ。
ということは、風船を大きく膨らませれば、
「フグオの体重+ガムの重さ」を宙に浮かせるだけの、浮力が得られるはず...。
小学2年生のフグオを、体重40kgとして計算すると、フグオ+ガムを
浮上させるのに必要な、ガム風船の直径は14m。噛まればならないガムの量は96kg分。
フーセンガム3万4000枚分だ。
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だが、ヒトは一度に何枚のガムを噛めるのだろう? 筆者が実験したところ、
7枚目で、アゴが痛くなり、10枚目で、舌が香料でしびれてきて、15枚目でギブアップ...!
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フーセンガムは甘いし、フーセンガムで、空を飛ぶことは不可能でないが、
そこに至る道程は、決して甘いものでは無いようだ・・・。![]()
備考:この内容は、
2016-3-25
発行:(株)KADOKAWA
発行:柳田理科雄
「空想科学読本 17」![]()
より紹介しました。
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