稲川淳二の怖い話「事故物件」...その1 | Q太郎のブログ

Q太郎のブログ

パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

アパルトマン に対する画像結果

 

 

 製薬会社に勤める、30代の独身男性で、仮に「久保」さんと

 

しておきましょうか。

 

 

 

 川を1つ超えると、隣の県という、東京の外れの閑静な住宅地にある、

 

3階建ての西欧風の造りのアパルトマンに引っ越したんですね。

 

 

 

 通勤時間は、今までと、さほど変わらないし、このあたりは緑が豊かで、休みの日

 

には河川敷を散歩出来る。環境もいいし、そこそこ快適な生活が送れそうだ。

 

 

 

 ただ、夜ともなると、どの家も早くに休むのか淋しいほどの静寂に包まれる。

 

 

 

で、入居にあたって大家さんから前もって、

 

 

 

「このアパルトマンには、事故物件がありましてね。いえ、あなたの部屋では

 

ないんですが、ま、規則ですから、お知らせするんですがね。そんなわけで、

 

家賃も相場より割安になってまして・・・」

 

 

 

と、聞かされた。

 

 

 

まあ、自分の部屋でなければ問題ないし、家賃は安いに こしたことはない。

 

さて、そろそろ休もうかと思っていると、

 

 

 

キンコーン!

 

玄関のチャイムが鳴った。

 

(こんな時刻に何だろう?)

 

と、

 

「はい!」

 

 

 

 

 

ぶきみな女性 に対する画像結果

 

 

 

玄関に出ていって、ドアを開けると、清楚な身なりの若い女性が立って

 

いて、

 

「夜分にすいません。真下の203号室の 岡本と申しますが・・・

 

 

と、言ったんで、

 

「あっ、は! いや、あの何かご迷惑でもおかけしましたか?」

 

と言うと、

 

「いえ、そうじゃないんです。今、帰って来たところなんですが、部屋に

 

入ろうとしたら、中に誰か居るみたいなんです。それで怖くなって、ちょうど

 

こちらのお宅に明かりが見えたものですから、すいません」

 

と、言った。

 

 

 

「ああ、そうですか・・・そういうことでしたら、部屋までご一緒しましょうか?」

 

と、さしあたって用心のためにゴルフクラブを1本持って、玄関を出ようとして

 

 

(!?)

 

 

女性の首に青黒いアザがあるのに気づいた。

 

それが、首輪のように付いている。

 

 

 

(なんだろう、このアザ?)

 

 

と、一瞬思ったのですが、階段で2階に降りて、部屋の前までやって

 

来ると、玄関のドアの、のぞき穴から覗いてみた。

 

が、中は真っ暗、物音ひとつ聞こえない。

 

 

 

で、試しにチャイムを鳴らしてみた。

 

 

 

キン、コーン!

 

 

 

鳴ったんですが、何の反応もない。

 

 

 

で、女性に目で合図して、ドアのノブを掴むと、一気に開けて、

 

中に飛び込んで、壁のスイッチを入れた。

 

と、パーッと室内に明かりがついて、

 

「失礼します!」

 

 

 

と、久保さんが、一言断って、室内に2、3歩入ると、女性も後ろから

 

続いて入って、久保さんの後ろに隠れるように立った。

 

で、室内を見回すんですが、これといって別段変わった様子は見られないし、

 

人の姿も無いんで、

 

 

 

「・・・誰もいませんね・・・」

 

と、言いながら久保さんが振り返った。

 

とたん、

 

 

 

(ううっ!?)

 

 

 

 

 

暗い部屋 に対する画像結果

 

 

 

女性が凄まじい形相で、自分を睨みつけてきたんで、びっくりした。

 

と、表情が戻って、

 

「どうも、ご面倒をおかけしました。ありがとうございました」

 

と、頭を下げたんで、

 

「あっ、いいえ、・・・じゃ、おやすみなさい」

 

と、言って、自分の部屋に帰ったんですが、どうも 今ひとつすっきりしない。

 

漠然と、

 

(なにか変だなぁ・・・)

 

といった違和感のような物を覚えた。

 

 

 

 さて、そんなことがあって、3日ほどして、この日は引っ越して、初めての休日で、

 

久保さんが、部屋でのんびりくつろいでいると、そこへ大家さんがやって

 

来て、

 

「お休みの所、誠に申し訳しわけないですが、今、警察の方が見えまして、

 

実は、あなたの前に入居していた人の事件で、確認したいことがあって、

 

こちらの現場を検証させてほしい、と言うんですけど、

 

よろしいでしょうか?」

 

と言った。

 

 

 

「えっ?・・・現場検証? いきなりそんなこと 言われてもなぁ・・・」

 

とは言っても、相手は警察で事件絡みとなると、断るわけにもいかないし、

 

「そういうことでしたら、いいですよ」

 

と答えると、

 

「そうですか。すいませんね」・・・

 

 

 

と言って、大家さんが帰って行って、まもなくすると、刑事らしい

 

2人を連れて戻ってきた。

 

「警察のものですが、お休みの所、申し訳ありません。少々、確認したいことが

 

あるものですから、あの、時間はとりませんから」

 

と言うと、

 

 

 

「失礼します」

 

と、玄関で脱いだ靴を持って、

 

「あの、室内じゃないんです」

 

と言って、部屋を突っ切ってベランダへ出て、靴を履きなおしてから、

 

ベランダのコンクリートの床にある、火災の時の避難用の非常口の

 

ステンレスの蓋を、

 

ガボッ!

 

と開けると、大人ひとりが通れる程の四角い穴が開いていて、

 

そこから

 

真下の部屋のベランダが見えた。

 

 

 

で、避難用のハシゴを垂らすと、

 

「ああ、ここから下のベランダへ降りて、初夏の頃で、ガラス戸が開いて

 

網戸になっていたんで、そこから入ったんだな。

 

 

 

 室内を物色しているところへ、被害者が帰って来て、カギを開ける音で

 

気づいた犯人が、とっさに物陰に隠れて、部屋にあった電気コードを掴むと、

 

知らずに入ってきた被害者を後ろから、首にコードを巻きつけて締め○した。

 

 

 

 そして、玄関のドアのカギを開けて、外へ逃走したように見せかけておいて、

 

避難用のハシゴを登って自分の部屋に戻って、何食わぬ顔をしていた・・・

 

というわけか・・・。」

 

 

 

 

 

職務質問 に対する画像結果

 

 

 

「ええ、そうなりますね・・・」

 

 

 

と言う2人の刑事のやり取りを聞いていた久保さん。

 

 

 

(・・・何? この部屋の前の住人が、強盗? ○人?・・・で、

 

真下の部屋の住人が被害者?・・・○されたんだ・・・はーっ、なるほど」

 

 

 

「あの大家さん! 事故物件って、このことですか?」

 

 

 

 

 

 

備考:この内容は、

2022-7-21

発行:(株)リイド社

著者:稲川淳二

「稲川淳二のすご~く

怖い話 事故物件」

より紹介しました。