星新一「天国からの道」...その7 | Q太郎のブログ

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パクリもあるけど、多岐にわたって、いい情報もあるので、ぜひ読んでね♥
さかのぼっても読んでみてね♥♥

 

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 天使たちは、熱心にサービス競争に続けた。

 

心配していた原水爆もサービスの進む

 

につれ、人間たちの、これを使って世界と子孫を

 

破滅させようとする動きは収まって

 

いくように見えた。しかし、実際は天使の

 

突然の出現と、これに続くサービス

 

合戦に、人々はあっけにとられ、しばらくは

 

戦争どころの騒ぎではなかったのだ。 

 

 

 

 

 

 だれも、天使のサービスを喜んだ。だが、

 

これをおもしろく思わない者もあった。

 

その1人に医者の「タン」がいた。

 

 

 

彼はもともと計画性のある性格だった。

 

高校の頃から安定

 

した職業の1つ、医者になろうと志し、

 

やっと、開業にこぎつけたところだった。

 

そこに天使の出現だ。重病人は、病院から

 

いなくなった。時々来るのは、命に別状のない 病院 筋肉

 

患者ばかりだ。

 

 

 

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 同業者たちは、天使たちに、掛け合って

 

保証を取った。天国に行く時には、その社を

 

利用すると、約束すれば保証がもらえた。

 

だが、タンは保証を受けなかった。計画性の

 

ある人間のうちには、人の世話になるのを潔しと

 

しない性質を持つものが多い。天使の

 

やつめ、人の一生の計画をめちゃめちゃにしやがった。

 

なんとか一矢報いて ダーツ ランニング

 

やりたい。タンは計画を練った。

 

 

 

 

 

 だが、天使相手にケンカをしてみてもつまらない。

 

ひとつ、2社をうまく操って

 

やりこめてやろう。それにはどうしたら・・・?

 

 

 

新しい宣伝用の器具の考案だ。これが出来上がれば、

 

1社が争って飛びつくだろう。

 

 

 

 

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 タンは、病院の暇なのを利用し、脳の研究に熱中し、

 

ついに、1つの器具を完成した。

 

それは、「夢見機=ユメミキ」

 

つまり夢を見せる器具だった。ふとん1ふとん3 飛行機 地球 船 波

 

 

 

 

 

 これは、枕になっていた。

 

寝る時にこれを用いると夢が見られる。

 

頭を枕に乗せれば

 

 

古い子守唄のようなメロディーが漂い始め、

 

それに聞き入っているうちに

 

眠りに落ちる。すると、内部の配線によって

 

脳波が調節され、朝まで楽しい夢が見られる

 

のだった。乾電池1個で1年は使える。

 

 

 

「我ながら、うまくできたな」

 

 

 

彼は、これを持って、ガブリエルとミカエルの

 

サービス社を訪れた。 車ダッシュ 病院 学校 郵便局 ATM

 

 

 

 

「これは特許を取ったばかりの品ですが、

 

ちょっとおもしろいでしょう?」

 

 

 

タンは詳しく説明し、権利を売るとも言わずに

 

帰っていった。案の定、両社の天使は

 

慌てた。

 

 

 

「あのユメミキは、そうとうな宣伝効果をあげる。

 

相手の社に取られたら

 

一大事だ。急げ!」

 

 

天使たちは、タンの家で、はち合わせをした。

 

だが、羽生結弦るわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜひ、ガブリエル社にお譲りください」

 

 

 

 

「ミカエル社は、もっと高く買います」

 

 

 

タンは、にやにや笑い。

 

「まあ、少し考えさせてください」

 

と、返事を渋ってみせた。だが、天使たちは、

 

その日から、泊まり込みのような形に

 

なり、価格はうなぎのぼりとなった。彼は、

 

この気分を味わいながら一生、過ごせたら申し分

 

ないと思った。しかし、結論は伸ばせない。

 

あまりグズグズすると、あいつは商売が

 

うますぎると言った嫉妬めいた避難を受ける。

 

タンは、やはりインチキだったとか、大衆の

 

評判も考えた。もっとも天使をいいかげんからかって、

 

大分うっぷんを晴らした

 

せいもあった。

 

 

 

 

 

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 さて、どっちに売るかな? 彼は、結論を

 

下そうとした。だが、毎日の札束攻勢で

 

いささか金銭についての価値判断が、わからなく

 

なっていた。なんだか金銭に価値が

 

ないように思えてきた。そこで、つい、

 

 

 

「金なんかではだめだ。一生、

 

使える奴隷をよこせ!」 ポーン ニヒヒ ムキー!?

 

 

 

と、口走った。一瞬、騒いでいた天使たちは

 

静かになった。天使が人間の奴隷に

 

なるわけにもいかず、人間の中から雇おうと

 

しても、あまりなりたがる者は

 

いないだろう・・・。

 

 

 

「どうだ?」

 

 

 

調子に乗ったタンの声に応じて、

 

ガブリエル社の天使が言った。おすましペガサス

 

 

 

 

 

 

 

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「よろしゅうございます」

 

 

タンは、こうあっさり言われるとは思わなかったが、

 

こう答えられると承知しない

 

わけにはいかない。話は決まった。学校学校学校 びっくり

 

 

 

 ガブリエル社は、前々から、密かにロボットの

 

研究をしていた。天国に来た科学者

 

たちの魂に頼んで、知恵を借りていたのだった。

 

学者たちは、生きていたうちのに学んだ

 

ことを全部天国に運んでくれる。地上では、

 

残った弟子たちが、その何分の一かを受け継ぎ、

 

研究を続ける、といった非能率的な状態にあった。

 

だから天国のほうで先にロボットが、

 

出来たとしても不思議ではなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロボットというとぎこちない機械性ピエロと

 

いった風に考えるが、ガブリエル製のは

 

素晴らしい美人だった。お母さん ロボット バレエ

 

 

 

連れてこられたロボットに向かって、タンは言った。

 

 

 

「給料は、やらないよ」

 

「結構でございます」

 

「食事もやらないよ」

 

「結構でございます」

 

 

 

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 時々天使が回って動力を補給しにくるのだ。

 

タンはロボットと知っていささか バレエ 

 

気抜けした。それに美人のロボットにこう従順に

 

出られると面白くなかった。美人は

 

お高く止まっているのがふさわしいのに、

 

こう従順では、メロドラマ映画のように

 

空々しかった。そこで、また口が滑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛してやらないよ」

 

 

 

「結構で、ございます」

 

 

 

タンは、予想に反して、あまり勝利感を

 

味わえなかった。だが、一方ガブリエル社の

 

人気は出た。「夢見機=ユメミキ」を手に入れ、

 

ロボットの存在を明らかにしたのだから。

 

 

                         おすましスワン 乙女のトキメキ ハートのバルーン

 ガブリエル社は、工場を買い取り、

 

「ユメミキ」 ふとん1ふとん3

 

の生産に着手した。天使の出現で生じた

 

失業者を雇い入れ、生産は次第に軌道に乗った。

 

価格は安かったが売れ行きが

 

良かったので採算は採れた。大衆は争って買い、

 

夢を見た。その夢の何処かには

 

ガブリエル社の花が現れた。テレビメーカーが

 

テレビを売りつけ、それを使って

 

自社の宣伝を見せるのと同じに、

 

一挙両得の方法だった。

 

 

 

 この有様を見て、タンは悔しがった、

 

腹立ち紛れにロボットをこき使おうとした。お弁当

 

掃除をしろ!食事を作れ!タバコを買ってこい!

 

だが、命令はすぐに、種切れになった。タバコ

 

現代の人間は、奴隷の使い方を知らないらしかたった。

 

これに比べて、古代の王様達は、

 

愚にもつかないことに

 

大勢の人間をかりたてることがうまかった。

 

だが、文明の進歩は、

 

そのような能力を人間から奪っていた。

 

タンにしても庭に椅子を置いて、

 

パイプでもくわえ・・・、

 

 

 

「おい!池を掘れ。木をそばに植えろ、よし。

 

ではそれをもとに戻せ。富士山 波波 やしの木

 

今度は山を作れ。それに滝を作れ。

 

滝をもう少し右に移してみろ。いや、やはり元の方が

 

いい。よし。では、全部、平らにして芝を植えろ。

 

ちょっとゴルフの演習をしたくゴルフ

 

なった・・・。」

 

 

 

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といった、具合に、命令し、一日を過ごせばいいのだが、

 

そんなことを面白がるセンスも

 

ないし、第1、

 

それを考えつく能力が無いのだった。

 

タンは玄関のベルを外し、

 

ロボットに玄関番をさせた。

 

ベルを外すぐらいのことを考えつくのが、

 

精一杯だったのだ。

 

 

彼は気が抜けたようになり、一日中「ユメミキ」を

 

枕にうつらうつらして暮らした。

 

食事を作れ、といえばロボットは食事を作った。

 

食事はガブリエル社が提供していた。ロボット カレー

 

 

「ユメミキ」の利益からみれば、

 

それくらいは、たかが知れていた・・・。

 

 

札束 札束 札束 パックハッ

 

 

 

 

 

備考:この内容は、

平成17-9-1

発行:新潮社

著者:星新一

「天国からの道」

より紹介しました。