「インデペンデンス・デイ」(1996年)
ホワイトハウス粉砕シーンに全米が熱狂!
ある日、世界の主要都市に空を
覆うばかりの巨大なUFOが飛来。
交信を試みるも反応はなく、
そればかりか突如として、一斉に放たれた
ビームにより地球は崩壊の危機を
迎える。
難を逃れたアメリカ大統領、
ユダヤ人の科学者、空軍
所属の黒人パイロット、アルコール中毒の
親父らは、それぞれ家族を守るために
サバイバルを繰り広げる。
やがて集結した彼らを中心に世界中の
人々が結束し宇宙人に宣戦布告。
折りしもその日は独立記念日。人類の
独立をかけ最後の戦いが
はじまる・・・。
アメリカでは公開時、『スター・
ウォーズ』(77年)を想い起こさ
せる熱狂、と称されるほどに劇場
内が興奮に包まれた。
「Size dose matter」(デカさが正義)との
キャッチ・コピーは同監督の
『GODZILLA』(98年)に付されたものだが、
この映画においてもビジュアル・
インパクトの大きさこそが
勝った原因だろう。
公開半年前に巨大な
UFOがホワイトハウスを粉砕する
特報が上映されると、観客の間では
「あの映画はなんだ?」と話題
になり(タイトルは出ず『ID4』
の文字のみ。以降、このスタイルが
他の映画でも、度々踏襲されて
いる)、その後、徐々にスケール・アップ
された映像が予告編として
公開されブームを作っていった・・・。
この手の映画の場合、たいていは、
「予告で出尽くす」場合が多い
のだが、さらにド派手な展開が本編
内に待ち受けているという、
まさにドデかい映画だったわけだ。
空中線をはじめとするアクション以外
にも細かなネタが豊富で、とり
わけエリア51をめぐる大統領と補佐官
のマヌケなやりとりや、ウィル・
スミスがエイリアンを素手で
仕留めるなど笑えるシーンも多い。
もっとも、オチに当たる部分の非科学性
を許せないSFファンは多い
だろうが、SF愛ゆえに先人の功績
を称えるあのオチを手放せなかった、
とも考えられまいか...?
作品の骨格はH・G・ウェルズの
小説「宇宙戦争」をなぞった
実質リメイク作。
とはいうものの
「宇宙人の襲来」に為す術もなく
壊滅状態に追いやられるものの、
意外な弱点によって敵が”自滅”
するというプロットこそ同様だが、
本作では地球人の努力・根性・
創意工夫によって”殉滅”する点が
新しい。
これをアメリカ人が主導する
こともあり好戦的とのレッテル
を貼られもしたが、ここでの
”アメリカ”とは決して”アメリカン・
スピリット”のほうだろう・・・。
ちなみに監督のローランド・
エメリッヒは敗戦国ドイツの出身。
『スペースノア』(83年)という
低予算映画の成功でハリウッドに
ヘッドハントされた、SFオタクだ。
以降の作品への影響力も半端
なく、本家の1人であるはずの
ジョージ・ルーカスまでもが対抗心
からか、『スター・ウォーズ/
ジェダイの復習 特別編』(97年)の
クライマックスの空中戦シーンでCGの
戦闘機を増やしまくり、結果、
『ID4』そっくりな見た目に
なってしまっている・・・。
備考:この内容は、
20112-8-21
発行:洋泉社
「洋泉社MOOK
~異次元SF映画100~」
より紹介しました。