広末> そのリーダー的な男の子は、なにかこう、うまく
振る舞う子で、先生と仲がいいし、私には、絶対に直接
文句を言わないの。
そう! 卑怯なんですよ。すごい
頭にきちゃって、「言いたいことがあるんだったら
私に言ってよ!」って言うんだけど、笑って済ませる
んですよ。
だから私、テスト中とか、本当に背中に
シャープペン投げたかったもの(笑)。女の子たちも、
私とは、付き合うけど、男の子軍団に対抗するまでは
してくれませんでした・・・。
・・・それは、どう解消したの?
あるいは、解消できなかったの?
広末> 学年が変わって、クラス替えをしてからですね。
急に、仲良くなりたいふぅの男の子とかが出てきて、
それなら、どうしてアノ時に、言ってくれなかったの?
って思った。子どもの世界でも、こういうことが
あるんですよね?
・・・嫌な人間関係を見てしまって、それでも、
生活が、ぐらつかなかったのは?
広末> それは、やっぱり、自分の性格とお母さんのおかげだ
と思いますね。一番の相談相手はママ
だったから・・・。
誤解のないように言っておくけれど、広末は
いわゆる「きれいごと」を言うようなタイプでは
なかったし、また事実、彼女の発言は、頭の中から出たわけ
じゃない。
本人が、いみじくも、「何を思ったのか手を
挙げて」と言っているように、男子生徒たちの
とった行動が、おそらく生理的に許せなかったに違いない。
ところが、みんな、自分が仲間はずれにさえ、なら
なければ、どんなことがあっても目をつぶる。今の
学校から絶滅しかかっているのは、彼女のように、
そこをまっとうな「男らしさ」を、秘めている生徒だ。
とはいえ、激しい競争原理で動いている芸能界では、
いわゆる「いいヤツ」が、伸び伸びとやっていける
という保証はない。
いや、どちらかと言うと、
いいヤツ部分がじゃまになるのが、今までの芸能界じゃ
なかったか。
なにかのインタビューで広末は、
(悩みはありません。充実しています。」と言ってたけど、
どうしても、その答えを鵜呑みにすることは、できなかった。
そのあたりを、聞いていくと、
「悩みはいっぱいあるけど、それを悩みと考えるかどうかですよね」
と、話し始めた・・・。
広末> みんな、悩むとか、悪いとかって言うんですよね。
でも、私の場合、悲しいという感覚があまりなくて、
悔しいに なるんですよ。悔しいだと、プラスになる
でしょう。次はがんばろうとか、次は、こうしようとかね。
私は、友達に相談するより、されるほうが多いんです
けど、そんなふうに考えられるのが、うらやましいって、
けっこう言われた。
でも、マイナスなこともないと、今の自分が
ないんじゃないかと、言うのもあるんですよ。私、中学
受験ダメだったんです。そこは、芸能活動とかに対して
厳しい学校で、もし、受かっちゃってたら、この、
仕事をしてなかったかもしれない。
だから、きっと、そのために、
私を、落としてくれたんだと思うの(笑)。
あまり、過去は振り返らないけど、後悔するときは
すごい深く後悔して、カラッとあきらめる。
特に演技とかに関しては、
こうすればよかった、ああすれば
よかったとかって、その瞬間に思って、その一日で
忘れちゃう。
それで、実際に、ドラマとか見ちゃって、
「思ってたより、ましじゃん」て。だから、後悔は放映
されるまでには、解消しているんです・・・。
備考:この内容は、
1998-4-30 初版発行
発行:集英社
発行人:山下秀樹
「広末涼子写真集
No Make」
より紹介しました。