第7位 「サイボーグ009」
島村ジョー、加速装置でマッハ3に!
『サイボーグ009』は、『仮面ライダー』の
石ノ森章太郎先生が、
それより7年も前に描かれた
人造人間たちが活躍するSFマンガ。アニメ化
もされ、そてなりにヒットした作品だが、
掲載雑誌に恵まれず、「少年マガジン」とか
「少年キング」とか、「少女コミック」とか、
「マンガ少年」とか・・・、
いろんなところを転々としていた。テレビとの
コラボ作品の多い、石ノ森先生なのだが、マンガに
しては、これをきちんと描きたかったのではないかな・・・?
この作品で活躍するのは、001から009までの
9人のサイボーグ戦士。
主人公009の
しまむらジョーがもつ特殊能力は、加速装置に
よって超音速で動けること。奥歯に加速装置のSWが
あり、奥歯を噛むごとにギアが切り替わっていって、
最速マッハ3で、走ることができる。
先程のエイトマンに比べると、時速3672km/hと、
わずかに速いことになる。2人が並んで、100m走に
出場すると、009が0.002秒早くゴールに着くはずだ・・・。
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第6位 「ウルトラセブン」
人間の少女に化けたピット星人、マッハ5で走る!
ピット星人は『ウルトラセブン』に登場する
宇宙人で、その特色は大きく3つ。
①宇宙怪獣エレキングを操る。
②人間の少女に、化けている。
③マッハ5で走る。
このうち「マッハ5で走る」という能力は、
劇中で特に発揮されることもなく、怪獣図鑑
などで、紹介されていた項目。だが、科学的に
注目したいのは、この能力である。
少女の姿をしているピット星人だが、
本来の姿に戻っても、身長2m。
こんな小さな体で、
マッハ5で走るとはおどろきだ。
これだけの速さで走ると、77tもの空気抵抗を
受ける。疾走を
続けるピット星人の足は、これに対抗できる怪力で
体を前へ、前へと進めるのだろう。
エレキングに頼らなくても、モロボシ・ダンぐらい
弾き飛ばせるはず。
それにしても、マッハ5は速い。少女の姿のまま、
そんなスピードで走ると、空気との衝突で体の
前方が1500℃に加熱され、着ているものが、
全部燃えてしまうから、注意しよう・・・。
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第5位 「走れメロス」
沈みゆく太陽の10倍も速く走る!
以外にも、太宰治の小説「走れメロス」の主人公・
メロスが第5位だ。この国民的名作のどこ
に、ピット星人を上回る走りが出てくるのかというと、
それは物語の終盤。
圧政を敷く王に捕まったメロスが、親友セリヌンティウスを
人質に、妹の結婚式にのために
もらった期間は3日間。故郷の村で結婚式を無事に済ませた
メロスは、その帰路、川の反乱、山賊の
襲撃、自らの熱中症と、トラブルの連続に見舞われる。
太陽は、ほとんど西に傾き、約束の時間まで
あとわずか、このままでは、セリヌンティウスが、
自分の代わりに○刑されてしまう。
焦ったメロスの猛ダッシュがすごかった! このときに
メロスの走りについて、太宰は
「少しずつ沈んでゆく太陽の、10倍も速く走った!」
と書いているのだ。
いや、これはもう、メチャクチャ
速いよ!
太陽が西に沈むのは、地球が西から東へ自転
しているからだ。舞台となったイタリアの
シラクスは、北緯37度にあり、ここで太陽の動きに
ついていくには、時速1300kmで
走る必要がある。
メロスが、その10倍も速く走ったとすれば、
時速1万3000km/h=マッハ11?
こんな勢いのまま、ゴールしたのでは、
当然、すぐにとまること
などできず、王とセリヌンティウスの
前を通り過ぎて、たちまち姿がみえなく
なってしまうのでは?
筆者には、「約束通り帰ってきたみたいですけど、
また、逃げちゃった・・・とか?」と、
呆然とする2人の姿が浮かびます・・・。
備考:この内容は、
2016-03-25
発行:KADOKAWA
著者:柳田理科雄
「空想科学読本 17」
より紹介しました。