あの頃、みんなスピードの象徴、トム・クルーズに憧れた!
『トップガン』が軍服をID服から
ファッション服に!
『トップガン』は、なぜブレイクしたのか?
スピードの象徴である空の戦闘機と陸のバイクを操るマーヴェリック。
彼が操った飛行機「G-1」とはいったい何だったのか?
まだ昭和だったあの時代を妄想で振り返る・・・。
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まだ昭和だったあの頃、みんなスピードに
憧れていた。出版社の先輩らは二輪・四輪を
乗り分け、高速ではケニー・ロギンスの
「デンジャー・ゾーン」のカセットをかけていた。
サーキットでは若きセナがバトっていて、中嶋悟が
参戦し一気に「F-1」人気。冬は「私をスキーに
連れてって」ブームで、雪上で直滑降。新幹線も
東京~新大阪間が2時間台に突入!
そんな時代に『トップガン』はやってきた。
空を「F-14 トムキャット」、陸を「カワサキ
ニンジャ」で、「G-1」を纏い、ノーベルで操る。
その姿は、当時のスピード狂を一発で虜に。
結果、『トップガン』は大ヒット。誰もがトムに憧れる
筋書きが保証され、飛行服も大ブームと
なった・・・。
「KAWASAKI ninjya」
ここで、スピード狂信者のカリスマとなった
トム・クルーズ演じるマーヴェリック・スタイル
をおさらい・・・。
まず「胸ポケット付きの
ヘインズの白T」を「レンジャーベルト」を通した
「リーバイス501」にズボンインし、
「特注?ウエスタンブーツ」を履き「ロゴ消しレイバン」
をかけ、飛行服「G-1」を着用。
おまけに兵士個人を識別する
「ドッグタグ」を首からかければ、和製
マーヴェリックのできあがり。
なんともシンプルなアイテム構成が、日本男子の
誰もがトムになれそうだと思わせたのだ・・・。
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実は海軍航空隊の「G-1」や、陸軍航空隊の
「A-2」、空軍の「MA-1」を代表とする
米軍飛行服、いわゆるフライトジャケットには、
ヒットした秘密が他にもあった。
それは、飛行士の経歴を示す
パッチワークのルールにある。
すなわち、パッチで彩られた飛行服
は、唯一無二の飛行士の履歴書だというロマン
があった。
一般人にとっても自分が活動する
バンドやバイク仲間など独自のパッチをつけ、
自分たちの履歴を自由に刻み、仲間との連帯意識を
築く道具としても需要があったのだ・・・。
残念ながら、マーヴェリックの○き父の経歴
が再現されているはずの「G-1」は、本物の
飛行士が見たら失笑するほど支離滅裂
だったと、当時、ミリタリー専門誌の先輩が
教えてくれた。
それは、制作者の公証不足だった
からなのか? または制作側の 何か大人の事情が
あったとも考えられる。
ただ、ミリタリー専門家は、
それを指摘したけど、ファッションとしては、
受け入れられ、現在でも精巧な
レプリカが作り続けられている。言い換えれば、
映画館の大スクリーンでしか見られなかった、
当時のトップガン世代が、共有すべきあの
世界観は、あの支離滅裂なパッチワークをも
1つのスピードの象徴、およびファッション
文化として刻むことを許したのだ・・・。
あの時のトムは、たまらなくカッコよかった!
36年前、確実に彼女と劇場で観たはず。でも
「マーヴェリック」という「群れから、はぐれて
しまった仔牛」というコードネームは覚えて
いるのに、一緒に手をつないで観ていたであろう
人の記憶がない。お粗末な最低男には語り
尽くせない、新作『トップガン・マーヴェリック』を
超期待」するかたわら、”はぐれてしまった”
元カノに「ゴメンナサイ」という気持ちになって
しまう今日この頃なのでした・・・。
備考:この内容は、
2022-3-19
発行(株)三栄
「80's 映画大解剖」
より紹介しました。