北海道に住む読者が、レストアした3台の
「陸王」で、4月下旬から、10日間の
ツーリングに挑戦した。
道中さまざまな
トラブルを乗り越え、各地の仲間に
助けられながら、鹿児島をスタート地点に、
選び、なんと名古屋まで1359kmを走破
したという。
その様子を、日を追って
克明に紹介しよう・・・。
文:高橋邦弘
【陸王大好きトリオ】
私達は、北海道の東、釧路に住んでいて、
陸王を、こよなく愛し、陸王以外は乗らないと
決めている。
この地方では、ツーリングシーズ
ンは、毎年、7ヶ月ほどしかなく、その間、私達
は、だいたい3000km前後を走っている。
陸王愛好家の皆様も、ご存知のとおり、この
「未完成の鉄馬」は、いくらシビをしても、故障
することなく、ベストコンディションで走る
ことは、できないようなバイクだが、それでも、
私達は、「陸王」が、好きなのだから、しょうがない。
今回のツーリングも、旧車仲間から「陸王
では、無理だから、やめておけ」と、真剣に、止め
られた。それでも、私達は、「故障は覚悟で
行こう」と決め、各地の、陸王愛好家の皆様と交流
し、私達の元気に走る陸王を観てもらい、
支援を受けて無事故で完走しようと決意した。
今年の2月に入ってから、各自の陸王を、
総点検すると、「定岡さん」の、RT2が、現状のままでは、
エンジンとミッションに問題がDELLてきた。
どうせ直すなら、外装もということで、結局、
オールレストアすることに決定。
この時点で、鹿児島の船積みまで、2ヶ月と少ししかなく、
幸い「安斉さん」が、ピストン、バルブ、ベアリング
などの部品を持っていたので、同氏が中心となり、
急ピッチで、作業をすることになった。
私の、RQは、燃料タンク裏側の亀裂修理、
シリンダーヘッドのオイル漏れ、ミッションの
シム調整、クラッチ滑り止め、プッシュロッド
交換、一次、二次チェーン交換、荷台の改造
くらいで済んだ。
一方、RT2は、安斉さんの
頑張りで、3月末に出来上がり、船積みの4月11日
までの間に、温かい日を選び、10~15kmほどを、
調整しながら、4~5回、ならし走行を行った。
レストアしてからの、走行不足はあったが、
予定どおり、4月11日鹿児島に向けてバイクを
発送。そして、私達は、4月20日期待と不安を位
胸に、空路鹿児島へ出発した。
このツーリングの、一番の期待はこの時期、
寒い釧路を出て、南国の太陽の下を、Tシャツ
一枚で快適に走ること。
そして、一番の不安は、
一日、何kmくらいづつ走ることが出来るのか?
予想はつかず、事前に宿泊場所を決められない
ことだった・・・。
備考:この内容は、
昭和53-12-16
発行:八重洲出版
「別冊 MOTOR CYCLIST」
2002-9月号
より紹介しました。