「新御三家」が、コントで躍動!
バラエティーの中心には、歌手がいた。
1975年(昭和50)4月~1986(昭和61)年3月(途中放送休止あり)
曜日/時間 金曜/19:30~20:00
主な出演:堺正章、研ナオコ、野口五郎、西城秀樹、郷ひろみ、坂上二郎など・・・。
父親役は坂上二郎、その娘は研ナオコ、長男は、堺正章、
次男は井上順、二郎の弟に、車だん吉、使用人に
関根勤、お手伝いに、高田みづえ、さらには、「日の本テレビ」
のディレクターに、野口五郎、その部下のADに
山口百恵、売れっ子タレントに西城秀樹、「モーニング企画」
の部長に郷ひろみ・・・。
『カックラキン大放送!!』では、
そんな、今では、ありえないほど、豪華なホームドラマ風
コントが、毎週のように、繰り広げられていた。
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1975年(昭和50)年4月に、前番組「コント55号の
なんでそうなるの?」と、半年ごとに、交互に、放送する
体制を、先がけるかたちで、坂上二郎、野口五郎、
研ナオコを、メインキャストに控えてスタート。
当初の
予定どおり9月に、一旦終了し、「なんでそうなるの?」
が再び始まり、その半年後に再開。
すると、人気が爆発し、
そのまま、約10年にわたり、キャストを変えながら継続
することとなった。
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人気爆発の、きっかけとなったのが、冒頭に挙げた
メインコーナー『お笑いお茶の間劇場」が、生まれたことだ。
その陣営は、まさに、バラエティー。芸人から、アイドルまで
が並んでいる。
当時のテレビ番組において、コントは、
芸人の専売特許ではない。むしろ、スターである歌手や、
アイドルが、堂々と主役を担っていた。
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そんな中で、絶大な存在感を放っていたのが、堺正章だ。
1960年代には、ザ・スパイダースのボーカルと、
して、GS(グループ・サウンズ)ブームを巻き起こし、
解散後、『時間ですよ』
に、出演し、俳優としても、高い評価を得た。
バラエティでも、『カックラキン』と、同じディレクターの、
白井荘也が、手掛けた『ハッチャキ!マチャアキ』や、
『マチャアキのシャカリキ大放送!』でも、大活躍。
音楽・演技・
お笑いを、高水準で、備えた、真の意味でのマルチタレントだ
と言えるだろう。
堺は、第2期が始まった1977
(昭和52)年から、『カックラキン大放送!』に、レギュラーで
参加。
その直後には、『西遊記』で、孫悟空を演じる
など、日本のテレビ史上において、”最高のタレント”と
言っても過言ではないだろう・・・。
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番組初期から、おそらく、最も長きにわたって
レギュラー出演したのは、研ナオコ。
「ナオコおばあちゃんの
縁側日記」の、コーナーで、老婆を演じ、最高のコメディエンヌ
っぷりを披露していた。
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そして、何と言っても、この番組で、コントの才能を
開花させたのは、野口五郎だろう。
「ホントに(西城)秀樹は、
間が悪くて(笑)。堺さんは、間がスゴいんで」と
本人は、後年に、テレビ番組で、冗談めかして振り返っている
が、たしかに、野口の間は、抜群だった・・・。
「(間は)ここって
いう場所しかないんです。休符で、覚えるんですよ。
8分休符で、16分休符でとか。8分休符で、コケる時は、
ふくらはぎに、脚を引っ掛ける。そうすると、大きくコケ
られる。
これが、『ウソ、パッ』なんです。16分休符だと、
くるぶしになるんです。」と語る。
持ち前の、リズム感で、
コケ方を、上達していった彼は、『アイドルがコントに
挑戦」といった枠を、凌駕した先駆けだろう・・・。
彼をメイン
に控えた『刑事コロンボ』のパロディ「刑事ゴロンボ」は、
野口五郎の、代表作の、ひとつだ。
このコーナーで、「犯人」
役で、奮闘していたのは、まだ、新人で、「ラビット関根」と
名乗っていた頃の関根勤。
彼は、ここで、「カマキリ拳法」
を披露する。
女性客が、多かった会場では、受け入れられ
なかったが、一部の、男性ファンには、強いインパクトを
残し、その後の、ブレイクへの、足がかりになった・・・。
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堺が、番組を降板すると、郷ひろみがレギュラーに、加わり、
野口と、ほぼ、1年ごとに、交互レギュラーになって
いった。
さらに、西城秀樹も、頻繁に、ゲスト出演したため、
「新御三家」を、中心とする、アイドルお笑いバラエティと
なった。
番組後期の1984(昭和59)年には、主役が
「新御三家」
から、近藤真彦、
田原俊彦らへと、世代が変わって
いく。
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「楽しかったひとときが、
今は、もうすぎていく」と、出演者
たちが歌って終わる
エンディングが、楽しい時間の
終わりを、強く印象づけた・・・。
備考:この内容は、
2022-1-25
発行:辰巳出版株式会社
「タツミムック
日本懐かしテレビ大全」
より紹介しました。