70年、私は、5歳になった。前年には、アポロ11号が、月面着陸に
成功し、日本では華々しく、万国博覧会が開催された年だ。
私は、誰もが知っている、都内の有名幼稚園に入園。全国各地から集まった
高貴な子どもしか入ることが許されない名門だ。しかし、当時の私は、体も
小さく、体力面はもとより、学習面でも、周囲に遅れを取っている劣等生だったこと
を、告白しよう。
サクセスを勝ち得た人間は、過去のダメだった自分を、必○で
隠そうとするが、私には、その行動が、理解できない。真の天才、真の成功者
ならば、昔の過ちを、すべて包み隠さず語っても、その価値が変化することなど
ない。昔の自分が、今の自分をつくったことに、違いないのだから、堂々として
いればいいのである。
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さて、では、私がどのような子どもだったのか、ここで、1つのエピソード
を紹介しておこう。
当時の私は、今と違って勝負弱いところがあり、
じゃんけんで、いつも負けるため、ウルトラマンごっこでは、怪獣役、仮面ライダー
ごっこの際には、怪人役すら任されず、ショッカーもしくは、逃げ惑う人々役とし
て、遊びに加わっていた。
ヒーローへの、憧れが強くなったのは、このせい
かもしれない。
そんなこともあり、私は、仲間たちが家路についた後、ひとり
空き地に残って「ジョワッ!」などと、「ごっこ」の続きに興じたものだ。
当時から、ずば抜けた想像力を持っていた私にかかれば、ヒーローごっこは、むしろ
1人で充分。私は、単身で、ウルトラマンから怪獣、警備隊の面々まで演じ分け、
常に、エキサイティングでスマートな「ごっこ」を演出した・・・。
備考:この内容は、
2002-11-30
発行:(株)学習研究社
著者:上田次郎
「日本科学技術大学教授
上田次郎の
どんとこい、超常現象」
より紹介しました。