・・・会を立ち上げた当時は、パソコンも今ほ
ど、普及していませんでしたし、大川さんご
自身、すでに68歳だったわけで、パソコンに
対する抵抗感はなかったのですか?
大川> 私は、終戦後にタイプライターを使う
仕事をしていて、ずっと、キーボードを打って
来たんですね。それが幸いして、キーを打つこと
への負担感は、ありませんでした。
そろそろ
定年というときになって、高齢者の皆さんに
パソコンライフを、楽しんでいただくボランティア
を始めたいなと、思えたのは、長いこと
キーボードと、一緒に生きてきたおかげだと
思います。
・・・会を立ち上げるために、まず、どんなこと
をしたのですか?
大川> どうすればいいのか? 最初は、まったく
わかりませんでしたから、とりあえず、行政に
相談して見たんです。「おじいちゃん、
おばあちゃん同士で、パソコンでつながる会を作りたい
んですけど」って。そうしたら、
「パソコンを貸すことはできますけど、壊したとき
の修理代は、自己負担で、してくださいね」と
言われてしまって・・・。
でもね、パソコンなんて、触ったこともない
方たちばかりですよ。何が起こるかわからない。
自己負担では、やっていけないでしょう?
で、パソコンメーカーに相談したり、関連業界の
大企業を訪ねたてもみました。でも、「高齢者
とパソコンなんてミスマッチ」とか、「コス
トに見合わない」とか、誰も相手にしてくれ
なくて。「パソコンは高齢者が生きていく
ためにこそ必要なのに、どうして、それがわから
ないの?」と、思いました。悲しかったですね。
あきらめかけたときに、ふっと足を運んだ
のが、自宅近くにある区のボランティアセンター
でした。入り口に大学生のような若い男性
が2人。座っていましてね。「実は、私、
こういう会を作りたいんですけど、できるかしら?」
と、相談してみたんです。そうしたら、2人
うちの1人が、「大川さんは、ご自分で
ノートパソコンを1台持っているんでしょう?
僕も1台持っていますから、2台もあるじゃない
ですか。できますよ。」って言うのね。隣りに
座っていた茶髪の大学生も、「じゃあ、ぼくは
名刺を作ってあげますよ」と言って、背中を
ポンと押してくれたんですよ。
それが、
「コンピューターおばあちゃんの会」の原点となり
ました。区の広報に、「ちょっと高いおも
ちゃですけど、高齢者同士、一緒にパソコンで
遊びませんか? 受付は当日会場で」と
いう簡単な、お知らせを出してみることにしたん
です。1人でも来てくださる人がいたら。
「コンピューターおばあちゃんの会」を
発会しちゃおうと思って・・・。
備考:この内容は、平成23-7-1
発行:NHKラジオ深夜便
より in your heart しました。