『春と修羅』 『風の又三郎』
『グスコーブドリの伝記』。
愛してやまない宮沢賢治の作品
世界だが、初めて読んだ子ども
時代に戸惑ったことが1つある。
難解な科学用語だ。
たとえば、銀河鉄道の車窓から見た「サソリの火」。
〈リチウムよりもうつくしく酔ったよう
になって、その火は燃えている〉と賢治は、
書くのだが、リチウムの色を知らない。
光を中にとらえた水晶、なるものが実在
するかどうかも判然としない。大人に
なって再読しても、同じところでつまずいた。
「賢治は、すぐれた理科の教師でも
あった。特に元素や鉱物、天体の知識の豊か
さと、高校で理科を教える四ケ浦弘さん(67)
は話す。賢治が詩や童話で描いた科学
現象を、実験で再現する出前講義を続けて
きた。
朗読に実演を組み合わせた科学
ショー。「サソリの火を」と希望されれば、
カセットコンロで粒状の塩化リチウムを
燃やして紅色の炎を披露する。聴衆の顔
がパッと輝くそうだ。
取材の際、実験を
させてもらった。手に取った棒状の水晶
2本をこすり合わせれば、あら不思議?
わが目の前で黄金色の光が飛び散る。
少年カムパネルラが、銀河で見たのはこの
閃光だったか。長年のモヤモヤが、一瞬で
消えた。
〈私は詩人としては、自信がありま
せんけれども、1個のサイエンティスト
としてだけは認めて頂きたい〉。
賢治が残した言葉である。理系と文系の
垣根を、自在に乗り越えた詩人の思考の、
一端を少しだけ理解できた気がした・・・。
備考:この内容は、
2022-2-10 発行
「朝日新聞・天声人語」
一部:150円
より紹介しました・・・。
(編集後記)
文章は、丸写しなのですが、
画像のほうが、ネコがイタズラをしまして・・・。
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