「キカイダーはPL学園出身か?」
人造人間キカイダーは、電光石火が
体を走って、瞬間的に変身する。ロボット
が瞬時に姿を変える場合、次のような
システムが最も現実的ではないだろうか?
まず、体の表面を一体成型にせず、
モザイクのように多数の細かいピースを、
表を人間の外形、裏をロボットの体表に
する。これを、必要に応じてクルクルと回転
させるのだ。すべてのパーツを表に
向ければジローになり、すべてのパーツを裏に
向ければ、キカイダーになるというわけだ。
早い話が、甲子園でお馴染み、PL
学園の応援団である。
このシステムの問題点は、裏表を
ひっくり返す時の動力にある。1つ1つの
ピースにモーターを付けると、重量が重く
なるし、故障しやすい。故障すると
ツギハギロボット人間が、できあがってしまう。
ピース自体に動力をつけない方法として、最も簡単なのは電磁石だろう。ピー
スを平面磁石で作り、体表のすぐ内側に小さな電磁石を敷き詰めれば、スイッチ
の切り替えで裏表を瞬時にひっくり返す事ができる。
われながら画期的な変身方法だと思うが、磁力が強すぎるとコンピューターが
狂ってしまうので、固定する力を弱くせざるを得ないのが欠点だ。嵐が吹けば、
田舎の駅前によくあるスパンコール看板のように、ひらひらと波立ってしまうし、敵が
磁気を帯びていたりすると、あちこち勝手にひっくり返されてしまう。戦いの
最中、スカートめくりをされて喜ぶ女子のように、めくれた部分を手で押さえながら、
キャーキャー逃げ回らなければならない。
またこのシステムでは、キカイダーになっている時、裏地には人間の皮が
張り付いている。顔面部分を取り外して裏側から観察すると、ジローの顔が
凹んだ局面に歪んで貼りついた様子が確認出来るはずである。気色悪いっ・・・。
備考:この内容は、2018-11-30
(株)KADOKAWA 柳田理科雄著
「空想科学読本1」より紹介しました・・・。