イヌは、心理状態によって、姿勢やしっぽの動きだけでなく、顔の表情も
変わってきます。表情を読み取るときの重要なポイントは、実は耳の動きです。
よく、観察すると、イヌは耳をよく動かしています。ピンとタ立てたり、傾けたり、
自在に動かしているように見えます。「耳介筋」と言う筋肉の働きがいい
ため、動かすことができるのです。
本来、人間もこの耳介筋を使って、耳を動かすことができたのですが、今では
この筋肉は、ほとんど退化してしまいました。日常生活で耳を動かす必要が
ないために忘れてしまっただけ、という説もありますが。
イヌに限らず、哺乳類は、耳介筋がよく発達しています。イヌやネコの耳を
見ていると、よく動くのがわかるでしょう。ただし、耳が立っているイヌと、たれ耳
のイヌがいるので、犬種によっては、その意味がわかりずらいこともあります。
「レトリバー」や「ビーグル」などの、たれ耳の犬種の場合、動きが小さい
ため、その気持ちを読み取るのが難しいかもしれません。しかし、よく観察して
見ると、わずかに耳を動かしているのが分かります。ポイントは付け根あたり。
耳が「ぴくっ」と動いて、いつもよりも力が入っているなど、小さな動きを
観察します。顔の表情や体全体の動きにも注目して、どんな気持ちなのかを
観知しましょう。そのためにも、日頃から気をつけて、耳の動き方の特徴を知って
おくと良いですね。
野生のイヌはもともと、子犬のときには、耳がたれていました。成長するに
したがって、耳が立ち上がってきます。ところが、耳がたれたイヌのほうが、
ペットとして人気が高いので、耳が垂れるように交配させてきたのです。
たれた耳は、ビーグルなど、狩猟犬種に多く見られる特徴でもあります。獲物
を追いかけて、藪の中を走る時、耳の中をガードするために耳がたれていた
ほうが、都合が良かったのだ、といわれています・・・。
備考:この内容は、 2011-7-27 PHP研究所発行 わんこ友の会著
「しぐさでわかるイヌの気持ち」より紹介しました・・・。