【セーヌ川】
夕暮れの娘たち、
お前の河畔の散歩道には、
マロニエの花ぶさが、
白い燭台の灯を、
無数に灯しているのだ。
船出してしまった、
お前の名前のお前の下心・・・。
セーヌ川の船着き場に
寄り添う、はしけ船、
逢い引きのたびに、
見つめている。
ほとんど読み取れない船の名が、
お前の不安な旅のようであった。
行きつ、戻りつ、
綴り終えた晴れの日の旅立ちの書類、
もう振り返ることはない・・・。
彼らは、
わかってくれるはずだ・・・。
お前のいない
並木道にも、
満開のマロニエの、
花が咲いている・・・。