マンハッタンビルの林が
冬をむき出しにして
枯れ果てた街路樹は
灰色の街並みに消えて行く・・・
マンホールから立ち上る蒸気が
凍えた街の吐く息のように白く
少し無口になった街を
レモン色も鮮やかに、駆け抜けるタクシーが
実は、充分に元気だと言っている・・・。
警笛を、呼び交わす声になり、
ウィンドシールドのワイパーの跡を
思いつめた顔に似せて・・・
車は戻りのない道を、駆け抜けて行く・・・
「春まであと真ん前」
そんな標識があればいい・・・。
じっと耐えている人も
および腰の人も
待ちきれず荷造りを始めた人も
どんなに励まされるか、しれないから・・・