静かに降り続いたパリの雨が
日暮れに上がると霧になった。
クリッシーの盛場に、赤や青のネオンが滲み、
歩道や建物の濡れた顔が
薄紅色に上気している。
水銀燈の光を差し入れた、
街路樹の緑が
木の下道を染め
恋人たちの散歩が
夜霧に浸されていく・・・。
ぎっしりと並んだ駐車の列に
さらに割り込もうとする車や
押しのけて出ようとする車のエンジンの音が
盛り場の騒ぎに輪をかけている・・・。
濡れた歩道を七色に染めて
どれだけの人を飲みこんだネオンが
一息入れで充電し
さらに新しいお客を誘い込み、
霧の中で、怪しい光を放つ
欲望の胸飾りのように見え・・・